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プロ野球

ダルビッシュも認める浅村栄斗の「ホンモノの打撃」。日本を世界一に導いた“トレンド”を打ち破る究極の一打【お股ニキ流アナライズ Vol.4】

お股ニキ

2019.11.25

お股ニキ氏が「ホンモノ」と評価する浅村の打撃の真髄とは一体? 写真:金子拓弥(THE DIGEST編集部)

お股ニキ氏が「ホンモノ」と評価する浅村の打撃の真髄とは一体? 写真:金子拓弥(THE DIGEST編集部)

 初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論』(光文社新書)が大反響を呼び、ツイッターのフォロワー数が2万8000人を超える「お股ニキ」氏の連載コラム。28日には“お股本”第2弾『なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか』が宝島社新書より発売となる。独自の野球観、卓越した分析力を誇る「お股ニキ」氏が毎回、一人の選手を取り上げて徹底解剖していく『THE DIGEST』のコラム第4回は、「ホンモノの打者」浅村栄斗(楽天)についてアナライジングしていく。

    ♢    ♢    ♢

「ホンモノはホンモノを知る」という格言がある。
 2019年にFAで楽天に移籍した浅村栄斗のことを言うのだろう。

 連日のようにYouTubeで動画を更新し、我々野球ファンを楽しませてくれるダルビッシュ有(カブス)も、日本時代にすごいと思った打者3人の中の1人として浅村の名を挙げている(https://www.youtube.com/watch?v=RGkisj2ZyPk)また、ソフトバンクが誇る千賀滉大と甲斐拓也のバッテリーも以前、「(西武の)“山賊打線”でも他の打者は対応策がないわけではないが、浅村さんはない、一番怖い」と語っていた。

 浅村は大阪桐蔭高で1番打者として活躍していた頃から天才と評されていた。その頃、私は野球をあまりしっかり見てなかった時期なので、正確には分からない。ハイライトで少し見た程度であった。
 
 プロ入り後は、センスの高い打者であるのは間違いないが、守備ではスローイングに難を抱えており、その悩みが打撃にもやや影響を及ぼしているように感じた。その後、ファーストやセカンドに専念し、スローイングも克服して悩みもなくなったのか、打撃でも本領を発揮するようになっていった。西武の試合は定点観測しているわけではなく、大舞台などでたまに見る程度ではあったが、その打撃力は誰の目にも素晴らしいものがあった。

 そして2018年は、最強西武打線の3番を担い、打率3割・30本塁打・100打点を達成。127打点で2013年以来2度目の打点王のタイトルも獲得した。この年MVPに輝いた山川穂高も素晴らしかったのは間違いないが、セカンド守備でも高い貢献度を示しながらこの打撃成績を残した浅村が、MVPに値したような気がする。

 そして今シーズン、私は昨年までよりもパ・リーグの試合を見ることが多くなり、浅村のプレーも以前に比べて触れる機会が増えた。私のアナライジングによると、今季の浅村は体重が増えたのか、身体が重そうで以前よりも俊敏性が落ちたような印象を受けた。また、打撃でもパワーは増して自己最多の33本塁打を放ったものの、少し意識が一発に行き過ぎていたように感じ、以前のような“怖さ”がやや薄れたイメージだった。

 確かに、怖いは怖いのだが、少し長打に偏りすぎたスウィングや意識となっていて、投球を間違いさえしなければ三振を計算できるようになっていた。実際、162三振はリーグ最多を数え、打率.263もレギュラーに定着してからは2番目に悪く、コンタクト率も前年の81.8%→70.4%と大幅に悪化していた。
 
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