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プロ野球

【DeNAドラフト総括】増え始めた高校生指名は“自信の表れ”。三原代表が口にした高田前GMの想いとは<SLUGGER>

萩原孝弘

2022.10.21

今ドラフトでは、「チーム内競争」をテーマに臨んだと語る三原一晃氏。写真:萩原孝弘

今ドラフトでは、「チーム内競争」をテーマに臨んだと語る三原一晃氏。写真:萩原孝弘

 10月20日に行なわれた2022年ドラフト会議。DeNAは1位で大阪桐蔭高の捕手・松尾汐恩を単独指名し、見事に交渉権を獲得した。昨年の小園健太に続き、2年連続の高校生1位指名は、ベイスターズの戦力強化路線が本格的に次のフェーズへ進んだことを実感させた。

 12年にDeNA体制になって以降、支配下ドラフトでの高校生指名は3年間でわずか3名。壊滅的だったTBS時代の投手陣を立て直すため、徹底的に即戦力ピッチャーの指名を最優先にした結果だった。16年からは3位での指名も散見され始めたが、18年に小園海斗を1位指名する。結果はくじで外してしまったが、育成に舵を切った瞬間だった。

 そして19年、ついにドラフト1位で桐蔭学園高から森敬斗を獲得。4位で捕手の東妻純平を含む4名を、20年ドラフトでは3位で横浜高から本格派左腕の松本隆之介、4位で小深田大地、6位に左腕の髙田琢登ら育成を含めて4名指名した。昨年は高校生No.1右腕と呼ばれた小園を競合の末に引き当て、3位では遊撃手の粟飯原龍之介、5位にもサイド右腕の深沢鳳介と高校生の指名が増えてきた。今年も松尾だけでなく、4位で京都国際高の左腕・森下瑠大、育成でも独立リーグと高校から過去最多の5名を指名した。

 このドラフトで勇退が決まっている三原一晃球団代表は会議終了後、「ドラフトからの育成がうちのチーム、高田(繁)GM時代からの戦力強化の基本方針。ドラフトでいい選手を取って、育成できっちり育てて、横浜スタジアムで活躍してもらう。

 高田GMがいらっしゃった時によくお話をさせて頂いたのが、『ようやくこのチームも楽しみな高校生を取れるようなドラフトができるようになってきたね』とお話しさせて頂いていた。そういう意味では、今また次の段階に行こうとしているチームなんだなと感じています」と高田GM理想の強化路線を引き継げたと、一定の手応えを得ている様子だった。
 
 ドラフト前日、進藤達哉編成部長は今回のテーマに「チーム内競争」を掲げ、三原代表も「各ポジションごとに競争がチームのなかで高いレベルで行なわれることがすなわち、チーム力を高めることがより今年強く感じた部分。そこの部分がさらに活性化できれば」と目論んでいた。

 実際、2位はトヨタ自動車から即戦力先発として右腕の吉野光樹、3位に俊足堅守の大卒内野手・林琢真、5位に慶応大の剛球リリーバー・橋本達弥と、テーマに沿った指名を行なった。

 今永昇太、濱口遥大、石田健大、東克樹と先発左腕は充実しているが、右腕となると大貫晋一以外はピリッとしない状況。吉野には同い年の京山将弥や、上茶谷大河、阪口皓亮らとローテーションを争い、新たな刺激を与える存在として期待。橋本にはブルペン陣の厚みを増すとともに、クローザーの座を狙っている伊勢大夢や入江大生の大卒コンビを脅かす存在としての指名の意味合いもあろう。

 また、駒澤大で主にセカンドを守っていた林は「ショートも守れるというところがスカウトの評価でもありますので、入ったばかりのタイミングでは、あまりポジションにこだわることなく、現場で評価を聞いていきたいと思います」との代表のコメントもあり、現在不動のショートに育てたい森の刺客としても面白い存在だ。

「いい素材を獲得し、育成して、主力にする」。その上で「チーム内での切磋琢磨によるレベルアップ」で常勝軍団を目指すベイスターズ。ダイヤの原石が横須賀のDOCKで磨かれ出航し、横浜の地で輝く未来が訪れる日が、着々と近づいている。

写真・取材・文●萩原孝弘

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