現地時間10月28日から、いよいよワールドシリーズが開始される。ア・リーグを制覇したヒューストン・アストロズはここ6年で4度目のリーグ優勝だが、一つだけ違う点があるとすれば、ニューヒーローが大きく貢献したことだろう。ア・リーグ優勝決定シリーズの4試合で2本塁打、OPS1.176と打ちまくり、ヤンキースを4連勝で下すのに大きく貢献してシリーズMVPに輝いたのは、今季デビューしたばかりのルーキー、ジェレミー・ペーニャだったのだ。
このシリーズでのペーニャの活躍は凄まじかった。第1戦では、7回のダメ押し本塁打を含む3安打。第4戦では0対3でリードされた3回に同点3ランを放って試合を振り出しに戻した。さらに、シフトで二塁寄りに立っていた7回の守備では、一、二塁間を抜けようかという打球を見事にキャッチしている。MVPに選ばれた後、ペーニャ本人は「現実とは思えない」と驚いたが、彼が攻守で見せた数々のプレーも現実とは思えないほど素晴らしかった。
ペーニャのこの活躍は、単にルーキーがチームを勢いづけたというだけではない。アストロズは昨オフ、長く遊撃のレギュラーとして活躍したカルロス・コレアがFAとなり、3年1億530万ドルでツインズに移籍してしまったのだ。今季年俸が3510万ドル(約51億円)となったコレアが自身の後継者として指名していたのが、他ならぬペーニャだった。コレアは今年の5月にこう語っている。
「去年の春季キャンプで一緒にゴロを獲る練習をした時、彼にこう言ったんだ。『来年はお前がこのポジションでプレーしている可能性があるぞ』って。(中略)それに、ワールドシリーズで負けた時も、『ヘイ、ペーニャ。来年はお前がレギュラーだぜ』って言った。『だからオフにしっかり準備しておけよ』って」
ペーニャは偉大な先輩の忠告をしっかり守った。今季開幕戦で「7番・ショート」として先発出場し、メジャーデビュー。シーズン序盤から攻守に才能を発揮し、一時は新人王の最有力候補とも言われる活躍でコレアの穴を完全に埋めた。136試合出場と22本塁打は、今季のコレアとまったく同じ数字。そして、守備でどれだけ失点を防いだかを示すDRSは、コレアをはるかに上回っていた(ペーニャ15/コレア3)。
そして迎えたプレーオフ。マリナーズとの地区シリーズ第2戦で、ペーニャはコレアと再会した。この試合でコレアはゲスト解説を務めており、試合中にペーニャにインタビューをしたのだ。この時、2人は個人的なことは話さなかったが、コレアの声を聞いたペーニャの目はうれしそうに見えた。なお、この試合でペーニャは2安打を放ち、勝利に貢献している。
アストロズは17年にコレアの活躍もあって球団初の世界一をつかんだが、後年になってチームぐるみでサイン盗みを行っていたことが発覚した。それだけに、今年のワールドシリーズで「クリーンな世界一」を勝ち取ろうという思いはチーム全体に充満しているはずだ。
もちろん、ペーニャは17年のサイン盗みには加担していない。だからこそ、17年当時の主力が数多く残っているチームでその存在は重要な意味を持っている、とも言える。果たして25歳のルーキーは、ワールドシリーズの大舞台で「汚名返上」に貢献することができるだろうか。
構成●SLUGGER編集部
このシリーズでのペーニャの活躍は凄まじかった。第1戦では、7回のダメ押し本塁打を含む3安打。第4戦では0対3でリードされた3回に同点3ランを放って試合を振り出しに戻した。さらに、シフトで二塁寄りに立っていた7回の守備では、一、二塁間を抜けようかという打球を見事にキャッチしている。MVPに選ばれた後、ペーニャ本人は「現実とは思えない」と驚いたが、彼が攻守で見せた数々のプレーも現実とは思えないほど素晴らしかった。
ペーニャのこの活躍は、単にルーキーがチームを勢いづけたというだけではない。アストロズは昨オフ、長く遊撃のレギュラーとして活躍したカルロス・コレアがFAとなり、3年1億530万ドルでツインズに移籍してしまったのだ。今季年俸が3510万ドル(約51億円)となったコレアが自身の後継者として指名していたのが、他ならぬペーニャだった。コレアは今年の5月にこう語っている。
「去年の春季キャンプで一緒にゴロを獲る練習をした時、彼にこう言ったんだ。『来年はお前がこのポジションでプレーしている可能性があるぞ』って。(中略)それに、ワールドシリーズで負けた時も、『ヘイ、ペーニャ。来年はお前がレギュラーだぜ』って言った。『だからオフにしっかり準備しておけよ』って」
ペーニャは偉大な先輩の忠告をしっかり守った。今季開幕戦で「7番・ショート」として先発出場し、メジャーデビュー。シーズン序盤から攻守に才能を発揮し、一時は新人王の最有力候補とも言われる活躍でコレアの穴を完全に埋めた。136試合出場と22本塁打は、今季のコレアとまったく同じ数字。そして、守備でどれだけ失点を防いだかを示すDRSは、コレアをはるかに上回っていた(ペーニャ15/コレア3)。
そして迎えたプレーオフ。マリナーズとの地区シリーズ第2戦で、ペーニャはコレアと再会した。この試合でコレアはゲスト解説を務めており、試合中にペーニャにインタビューをしたのだ。この時、2人は個人的なことは話さなかったが、コレアの声を聞いたペーニャの目はうれしそうに見えた。なお、この試合でペーニャは2安打を放ち、勝利に貢献している。
アストロズは17年にコレアの活躍もあって球団初の世界一をつかんだが、後年になってチームぐるみでサイン盗みを行っていたことが発覚した。それだけに、今年のワールドシリーズで「クリーンな世界一」を勝ち取ろうという思いはチーム全体に充満しているはずだ。
もちろん、ペーニャは17年のサイン盗みには加担していない。だからこそ、17年当時の主力が数多く残っているチームでその存在は重要な意味を持っている、とも言える。果たして25歳のルーキーは、ワールドシリーズの大舞台で「汚名返上」に貢献することができるだろうか。
構成●SLUGGER編集部