12月9日にプロ野球現役ドラフトが開催される。
各球団が契約保留選手名簿に記載された選手の中から2名以上の対象選手を選択(外国人選手、複数年契約選手、FA資格選手、育成選手などは対象外)する現役ドラフトは、現所属チームでなかなかチャンスをつかめない選手に活躍の場を与えることを目的に行われる。果たして、実際にどんな選手がチームを移ることになるのだろうか。セ・リーグ6球団から2人ずつ候補を選んだ。
――◆―――◆――
【ヤクルト】
西浦直亨(内野手・31歳)
西田明央(捕手・30歳)
どちらも若手との争いに敗れて今季は二軍が主戦場になったが、その打力は守備型ポジションでは売りになるはず。西浦は18年と20年はそれぞれ100試合以上に出場して2ケタ本塁打を記録した元レギュラー。西田もパンチ力を備えた控え捕手として、7本塁打を放ったシーズンが2度ある。長岡秀樹、内山壮真の台頭もあって、2人ともヤクルトでは出場機会が増えない可能性が高い。西田は、捕手の数が少ない中日などにフィットしそうだ。
【DeNA】
神里和毅(外野手・28歳)
細川成也(外野手・24歳)
外野の人材が飽和気味だけに、ここから現役ドラフトにかかる選手が出る可能性が高いのではないか。俊足が武器の神里は19年にセンターのレギュラーとして活躍したが、ここ3年は控えどまり。一方、次代の大砲候補と期待されてきた細川は二軍ではここ3年間、607打数で40本塁打、打率.292ともやり残したことはない。吉田正尚のメジャー挑戦で長打力強化が課題のオリックスのようなチームなら出場機会を得られるかもしれない。
【阪神】
馬場皐輔(投手・27歳)
村上頌樹(投手・24歳)
いずれも二軍では結果を出しながら、一軍の選手層にチャンスを阻まれている。17年ドラフト1位指名で入団した馬場は20年、21年と中継ぎで一軍に定着したが、今季はわずか7登板のみ。秋のフェニックス・リーグでは先発登板するなど新境地開拓に挑んでいるが、12球団屈指の層の厚さを誇る投手陣でチャンスをつかむのは容易ではない。
村上はプロ1年目から2年連続でウエスタン・リーグベストの防御率3.09と勝率.700を記録し、同最多の74三振を奪いながら一軍登板なし。他球団であれば、来季の飛躍に期待したくなる存在だ。
【巨人】
重信慎之介(外野手・29歳)
北村拓己(内野手・24歳)
野手陣の層が厚いチームにベテランの松田宣浩や長野久義が加わり、定位置がない選手はあおりを受けそう。そのうち重信は走塁と守備で貢献できるタイプのため、どこのチームへ移籍しても即座に実戦対応できそうな点が強み。
昨季から飛躍期した北村は打率.170でノーアーチと苦しんだが、二軍での66試合で8本塁打と意地を見せた。内野全ポジションを守れる汎用性も売りだ。ともにベンチ入りしていれば、首脳陣の起用に幅を作れる。
【広島】
中村奨成(捕手・24歳)
正隨優弥(外野手・26歳)
5年目の中村は高校時代に甲子園を沸かせた打棒を披露できていないが、今季は二軍で打率.294、OPS.752とステップを踏んでいる。捕手で稀有な打力を備えても上の壁は高く、他球団で心機一転の方が一軍定着へ近道かもしれない。
正隨はウエスタン・リーグで4位タイの8本塁打と、11本を放った前年に続く持ち味を発揮した。ただし、こちらも秋山翔吾の加入と西川龍馬のFA残留により、向こう数年はブロックされてしまう可能性が高い。
【中日】
鈴木博志(投手・25歳)
郡司裕也(捕手・24歳)
2年目に鈴木は14セーブを挙げ、メジャーのクローザーを真似た構えでも話題になったが、その後は鳴かず飛ばず。先発転向の今季は二軍で99.1回を投げて3被弾のみで防御率3.90とまずまずの成果を残したが、補強もあった先発陣は残りの枠が少ない。
郡司は二軍での55試合で打率.309にOPS.852と打撃で好成績。一軍、二軍通じてプロ入りから毎年四球率10%超えの選球眼も魅力だが、こちらも現状で正捕手の木下拓哉が大きな壁になる。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
各球団が契約保留選手名簿に記載された選手の中から2名以上の対象選手を選択(外国人選手、複数年契約選手、FA資格選手、育成選手などは対象外)する現役ドラフトは、現所属チームでなかなかチャンスをつかめない選手に活躍の場を与えることを目的に行われる。果たして、実際にどんな選手がチームを移ることになるのだろうか。セ・リーグ6球団から2人ずつ候補を選んだ。
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【ヤクルト】
西浦直亨(内野手・31歳)
西田明央(捕手・30歳)
どちらも若手との争いに敗れて今季は二軍が主戦場になったが、その打力は守備型ポジションでは売りになるはず。西浦は18年と20年はそれぞれ100試合以上に出場して2ケタ本塁打を記録した元レギュラー。西田もパンチ力を備えた控え捕手として、7本塁打を放ったシーズンが2度ある。長岡秀樹、内山壮真の台頭もあって、2人ともヤクルトでは出場機会が増えない可能性が高い。西田は、捕手の数が少ない中日などにフィットしそうだ。
【DeNA】
神里和毅(外野手・28歳)
細川成也(外野手・24歳)
外野の人材が飽和気味だけに、ここから現役ドラフトにかかる選手が出る可能性が高いのではないか。俊足が武器の神里は19年にセンターのレギュラーとして活躍したが、ここ3年は控えどまり。一方、次代の大砲候補と期待されてきた細川は二軍ではここ3年間、607打数で40本塁打、打率.292ともやり残したことはない。吉田正尚のメジャー挑戦で長打力強化が課題のオリックスのようなチームなら出場機会を得られるかもしれない。
【阪神】
馬場皐輔(投手・27歳)
村上頌樹(投手・24歳)
いずれも二軍では結果を出しながら、一軍の選手層にチャンスを阻まれている。17年ドラフト1位指名で入団した馬場は20年、21年と中継ぎで一軍に定着したが、今季はわずか7登板のみ。秋のフェニックス・リーグでは先発登板するなど新境地開拓に挑んでいるが、12球団屈指の層の厚さを誇る投手陣でチャンスをつかむのは容易ではない。
村上はプロ1年目から2年連続でウエスタン・リーグベストの防御率3.09と勝率.700を記録し、同最多の74三振を奪いながら一軍登板なし。他球団であれば、来季の飛躍に期待したくなる存在だ。
【巨人】
重信慎之介(外野手・29歳)
北村拓己(内野手・24歳)
野手陣の層が厚いチームにベテランの松田宣浩や長野久義が加わり、定位置がない選手はあおりを受けそう。そのうち重信は走塁と守備で貢献できるタイプのため、どこのチームへ移籍しても即座に実戦対応できそうな点が強み。
昨季から飛躍期した北村は打率.170でノーアーチと苦しんだが、二軍での66試合で8本塁打と意地を見せた。内野全ポジションを守れる汎用性も売りだ。ともにベンチ入りしていれば、首脳陣の起用に幅を作れる。
【広島】
中村奨成(捕手・24歳)
正隨優弥(外野手・26歳)
5年目の中村は高校時代に甲子園を沸かせた打棒を披露できていないが、今季は二軍で打率.294、OPS.752とステップを踏んでいる。捕手で稀有な打力を備えても上の壁は高く、他球団で心機一転の方が一軍定着へ近道かもしれない。
正隨はウエスタン・リーグで4位タイの8本塁打と、11本を放った前年に続く持ち味を発揮した。ただし、こちらも秋山翔吾の加入と西川龍馬のFA残留により、向こう数年はブロックされてしまう可能性が高い。
【中日】
鈴木博志(投手・25歳)
郡司裕也(捕手・24歳)
2年目に鈴木は14セーブを挙げ、メジャーのクローザーを真似た構えでも話題になったが、その後は鳴かず飛ばず。先発転向の今季は二軍で99.1回を投げて3被弾のみで防御率3.90とまずまずの成果を残したが、補強もあった先発陣は残りの枠が少ない。
郡司は二軍での55試合で打率.309にOPS.852と打撃で好成績。一軍、二軍通じてプロ入りから毎年四球率10%超えの選球眼も魅力だが、こちらも現状で正捕手の木下拓哉が大きな壁になる。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
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