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MLB

複数年オファーを蹴って1年1300万ドルで契約。“雷神”シンダーガードはなぜドジャースを選んだのか<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.12.16

たなびく金髪と、雷のごとき剛速球から“ソー”のニックネームで呼ばれていたシンダーガード。ドジャースで往年の雄姿を取り戻せるか。(C)Getty Images

たなびく金髪と、雷のごとき剛速球から“ソー”のニックネームで呼ばれていたシンダーガード。ドジャースで往年の雄姿を取り戻せるか。(C)Getty Images

 連日のようにメガディールのニュースがファンをにぎわせているMLBのストーブリーグ。そんな中であるささやかな契約が話題となっている。現地12月14日にノア・シンダーガードがドジャースと1年1300万ドルで合意したのだ。

 昨オフ、メッツからFAとなったシンダーガードはエンジェルスと1年2100万ドルの契約を結んだ。8月にはフィリーズへの移籍がありつつも、2球団で計24試合に先発し、10勝10敗、防御率3.94という成績だった。再びFAとなった今オフは他球団から複数年契約のオファーも来ていたようだが、あえて単年契約、しかも前年から800万ドルもの減額を受け入れてドジャース入りを決めた。

 理由は、端的に言えばドジャースが持つ“再生工場”のノウハウに期待したからだ。

 メッツ時代のシンダーガードは、アメコミヒーローにちなんだ“ソー”の愛称通りの剛腕だった。平均球速97~98マイル(約156.1~157.6キロ)の4シームでぐいぐい攻めて三振を奪いまくるパワーピッチングが持ち味で、16年にはリーグ4位の218奪三振を記録している。
 
 だが、20年3月にトミー・ジョン手術。本格復帰した今季は4シームの球速が94.5マイルまで低下し、シンカーとスライダーでかわすスタイルの投手に変貌してしまった。それでも一定の成果を残したとはいえ、シンダーガードにすれば消化不良だったに違いない。

 そこで自ら門を叩いたのが“再生工場ドジャース”だっというわけだ。

 すでに知っている人も多いだろうが、ドジャースはピッチデザインやフォーム修正などを通じて投手を“魔改造”するチームとして名を馳せている。今季はタイラー・アンダーソン、アンドリュー・ヒーニーの2人の先発投手の改造に成功。アンダーソンはチェンジアップにさらにブレーキを加えて変化量を増大させ、もともと優れていたボールゾーンスウィング率がさらに向上。ヒーニーは代名詞だったカーブを封印し、代わりにスライダーをメインの変化球として奪三振率を急上昇させた。

 奇しくも、アンダーソンはこのオフ、3年3900万ドルの好条件でエンジェルスへ移籍。そして、ヒーニーは“変身”の前年途中までエンジェルスに在籍していた。もしヒーニーに続いてシンダーガードがドジャースで好成績を残し、一方で新天地でアンダーソンの“魔法”が解けて元の平凡な投手に戻ったら、エンジェルスは体のいい引き立て役になってしまう。それはともかくとして、シンダーガードが再び“マイティ・ソー”の相性にふさわしい雄姿を取り戻すことができるか注目したい。

構成●SLUGGER編集部
 
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