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黒木知宏が語る“怪物”山本萩子の凄み。名バッテリーでMLBファンを楽しませた4年間【黒木知宏インタビュー:後編】<SLUGGER>

岩国誠

2022.12.26

黒木氏(写真)と山本キャスターの名バッテリーは、自他ともに認める『ワースポ×MLB』の名物だった。NPBで最多勝を獲得した経験もある名投手をうならせた山本キャスターの凄みとは……?写真:THE DIGEST写真部

 NHK-BS1で連日放送されている『ワースポ×MLB』(以下『ワースポ』)として活躍した黒木知宏氏が、2023年から古巣・千葉ロッテの一軍投手コーチ就任が決まった。今回、番組を"卒業"するにあたり、この4年間、『ワースポ』のスタッフたちとどうやって番組を作り上げていったのかを語ってもらった。

「(数字など)材料をいっぱい提供してくれるので、最初の頃はこっちが『簡単なことで終わっていいものか』って思いながらやっていました。でも最近は、『今日はこのポイントここだけにしましょう』とかじゃなくて、『あの時のシーンなんですけど……』とか、ディレクターの方から僕を差し込むような打ち合わせも結構増えてきましたね。だから、僕も負けないようにずっと試合を見ています(笑)。

『ワースポ』のディレクターさんたちは皆さん、担当試合に自分の想いを込めて番組構成を作るんですけど、『僕はここを伝えたい。野球の見どころ、実はここなんです!』みたいなところで、僕が何度かひっくり返して(笑)。それでも、ディレクターさんたちが必ず取り入れてくれて、僕の思いの丈を伝えさせてくれたことにすごく感謝しています」

 どうすればMLBの凄みや魅力が伝わるか。番組構成を作るうえで欠かせない電話での事前打ち合わせは、当初は1時間近く詳細に意見を交換していた。だが、思いを年々共有していくうちに、近年では打ち合わせ時間が30分ほどで済むようになった。
 
「僕ならこういうことを言うだろうってもう理解してくれて、打ち合わせの段階ですでに(解説の)材料が用意されているんですよね。『ストライク率がこうです』、『配球がこうだったので、このシーンを使いましょう』とか。僕はこういう見立てをしているということを多分理解してくれて、すごくやりやすかったですし、うれしかったですね。

 ディレクターさんの『絶対これをやってほしい』という想いと、『いや、僕はこういう風にしてほしい』っていう想いをバランス取りながらやってきたので、僕の中で勝手に言っていることなんですが、(放送された番組に)深みもあると思っています」

 長年、積み重ねてきたからこそ生まれた番組としての深み。それをより引き立たせていたのが、黒木氏と同じく2019年から平日MCを務めている山本萩子キャスターの存在だ。

「僕の"相方"って言いますけど、山本萩子さんがまたすごいんですよ。彼女も全試合観てますからね。だから本番中、ハイライトVTRからスタジオに戻ってくるまでの間、僕が突然『この時こうだったよね』って言っても、『これでこうでしたよね』って答えるんですよ」
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「番組最強は僕じゃなくて山本萩子じゃないかなと思ってるんです」