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MLB

黒木知宏が語る“怪物”山本萩子の凄み。名バッテリーでMLBファンを楽しませた4年間【黒木知宏インタビュー:後編】<SLUGGER>

岩国誠

2022.12.26

「最近、僕は山本さんのことを“怪物”って言っちゃってます(笑)」と笑う黒木氏は、山本キャスターの凄みをさらにこう続ける。

「解説者が2人いても、ゲストが来たとしても、結局は時間内に全部まとめてるから。『すごいよね~怪物だね~』って(笑)。でもそれって、多分(試合を)見ていなかったらできないと思います。(台本に書いてある)用意されたものだけだと結局、台本の流れに沿って何とかやらなきゃいけない。やっぱり自分が見たものだって自分の肌感がちゃんとあるので、話を振られた時にきちんと返すことができる。

 これは僕らとディレクターさんもそうですし、山本さんと僕もそうですし、お互いが試合を全部体感してるものだからこそ多分できることだと思うんです。安心していられる分、本当に迷惑かけました。(笑)。だから、番組最強は僕じゃなくて山本萩子じゃないかなと思ってるんです。そういうものを、何かこの4年間で築けたかなと」

 頼れる“相方”の凄みを独特の表現で語った黒木氏。それがまた、確固たる信頼関係を築いた“名バッテリー”だったことを感じさせる。今年、バッテリー先発出場のMLB記録を更新したアダム・ウェインライト&ヤディアー・モリーナ(カーディナルス)の328回を超える“登板回数”だと番組でも話題にしていたが、彼らと同じタイミングで息ぴったりの“バッテリー”が見られなくなるのはなんとも寂しい限りだ。

「僕が今あるのはメジャー、『ワースポ』のおかげっていうのは絶対ありますから。そういう思いはすごく持っています。来年からはコーチ業があるので1日3試合は厳しいですが、どこかで必ず見ておきたいし、『ワースポ』は見られる時間帯ならば、必ず見ておこうかなとか。そういう情報は取り入れておかないと、『もう番組終わったからはい終わり』ってことはないので。教材として見たいです。
 
 メジャーの野球を見ることに対しては一生懸命やりました。ただ毎日3試合見て、僕が出ない週でも必ず『ワースポ』を見て、分からない野球、メジャーリーグを理解しようと。そういう環境を整えてくれたのがNHKさんだったりとか、いろんな人たちのおかげでこういう知識なども得ることができましたので感謝しています」

 現役時代の投球スタイルのように、番組作りにも全力投球で向き合ってきた黒木氏。今後はいち視聴者となるわけだが、番組OBとして『ワースポ』にどんなこと期待しているのだろうか。

「深いところを突き詰めてほしいですね。それを万人に分かりやすく。でも、たまにめちゃくちゃマニアックすぎたり(笑)。そういう深みとフレンドリーなところをいいバランスでやってほしいです。4年やりましたので、ディレクターさんたちがやろうとすることも僕の中でも分かるので、『ほー! そこまで深くきたか!』って思えるような番組作りをしてもらったらいいなと思います。何か唸らせてほしいんですよね。僕も唸りたいし、勉強したいので」

 MLBを1日3試合見る生活ではなくなることを「寂しい」と話していた黒木氏だが、それだけMLBを見る生活が当たり前になっていたということだろう。『ワースポ』での4年間で触れ続けてきたMLBの野球、そこから得た知識をどうコーチとして選手たちに還元していくのか。大谷の育成に関わった日本ハム投手コーチ時代とは、また違ったコーチ・黒木知宏が、古巣ロッテで見られるかもしれない。

取材・文●岩国誠

【著者プロフィール】
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。

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