専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

楽天本拠地の観覧車からデータ収集! レッドソックスの吉田正尚獲得の舞台裏「正直言って、我々の見方が変わった」

THE DIGEST編集部

2022.12.29

オリックスの主砲として活躍してきた吉田。その抜群の野球センスはメジャー球団の垂涎の的となっていた。(C)THE DIGEST

オリックスの主砲として活躍してきた吉田。その抜群の野球センスはメジャー球団の垂涎の的となっていた。(C)THE DIGEST

 今冬もメジャーリーグのストーブリーグでは、各球団が来シーズンに向けた補強を展開。ワールドクラスのスター選手たちのビッグディールが相次いで締結されている。そのなかで現地でも小さくない話題となったのは、オリックスからポスティングでボストン・レッドソックスに入団した吉田正尚だ。
【動画】日本シリーズで観客の度肝を抜いた圧巻弾! 吉田正尚の特大アーチをチェック

 29歳のパワーヒッターが結んだ5年9000万ドル(約122億4000万円)+ポスティング料1540万ドル(約20億9440万円)という契約は、昨オフにシカゴ・カブスに入団した鈴木誠也を上回る、まさしくメガディールだ。ゆえにレッドソックス首脳陣に対して、「払い過ぎではないのか」という懐疑的な声も上がった。

 もっとも、批判を受けた首脳陣は鵜の目鷹の目である他球団のスカウトを出し抜くべく、早くから吉田を徹底マーク。活躍に確固たる自信を持って大枚を叩いたと言える。レッドソックスは4年前から日本球界屈指のスラッガーの成長を監視し続けてきたのだ。

 レッドソックスの吉田に対する執着は脱帽すべきレベルにあった。『The Athletic』によれば、コロナ禍による渡航制限が解除となった今年9月にスカウト部門の幹部を筆頭に、アジア担当の地域スカウト、データ分析部門トップら総勢6人で来日。敵地で行なわれた楽天戦を視察した際には、なんと球場近くに建てられている観覧車から吉田をチェックしていたというのだ。

 同メディアは、取材に応じたスカウト開発および統合担当副社長のガス・クアトルバウム氏のコメントを紹介している。

「最初は冗談のつもりだった。『おい、あの観覧車から見てみたらどうだ?』って話し合ったんだ。そしたら本当に見てみようという話になった。実際、かなり良かったんだ。ヨシダが守備の際にどうやってライン際のボールを追うのかも把握できたらからね。いい旅だった」
 
 観覧車から収めた映像は、分析官たちの重要な参考資料となった。そして、“唯一の懸念材料”とされていた吉田の守備力が問題ないものであると確信できた。

 この時の出来事を「本当に幸運だった」と振り返るクアトルバウム氏は、次のように吉田について語っている。

「正直に言って、あそこまでのパワーがあるとは予想していなかった。体格的には大きくなく、むしろ小柄な部類に入る。だが、打球を上げる技術はメジャーリーグのそれに近い。能力を分析するうえで、我々の見方が変わったよ。

 あとは野球への向き合い方が優れていることも我々は知っていた。とくにオリックスでは若手打者に良い影響を与え、勉強熱心な選手であることはよく聞いていたんだ。実際にチーム関係者と話しても、周りに大きな影響を与える打撃の達人であることは、全員が認めていた」

 直接、吉田の凄みを目の当たりにして、獲得にゴーサインを出したレッドソックス。はたして彼らが“眼識”から見出した29歳の日本人は、大金に見合った活躍を見せてくれるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

【関連記事】「20本塁打以上は難しい」「今のメジャーにいないタイプ」MLBスカウトによる吉田正尚の“リアル評”

【関連記事】侍ジャパンの4番は誰が適任? 最強打者は何番を打つべき? 強打者揃いの日本が世界一を狙うには――【WBC打順予想】

【関連記事】【WBCメンバー序列予想】侍ジャパン28名の顔ぶれはどうなる?ポジションごとに各選手の役割をチェック
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号