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プロ野球

【勝利貢献指標WARで振り返る2013~21ドラフト】1位は競合より単独入札、3位より2位の成功例が多い意外な結果に<SLUGGER>

出野哲也

2023.01.03

1位のWARは森(左)がトップだが、3位の源田(右)の数値は森をも上回る。2位では牧(中央)が森や源田クラスへの成長が期待される。 写真:THE DIGEST写真部

1位のWARは森(左)がトップだが、3位の源田(右)の数値は森をも上回る。2位では牧(中央)が森や源田クラスへの成長が期待される。 写真:THE DIGEST写真部

 2013~21年のドラフトを、勝利貢献度を測る総合指標WARで検証するこの企画。3回目は順位別の総合計を見ていく。

※データ提供:DELTA

●ドラフト1位:通算WAR571.3
▼ベスト5
1位 森友哉(13年西武) 29.7
2位 吉田正尚(15年オリックス) 27.3
3位 大瀬良大地(13年広島)    26.4
4位 石川歩(13年ロッテ) 24.2
5位 今永昇太(15年DeNA) 23.6

 指名順位が上であればそれだけ、成功する選手が多いのは当たり前だ。実際、過去9年間の通算WARでは、1位指名が571.1で他の順位を圧倒している。WAR20以上の選手が7人、10以上は22人。他の順位は全員合計しても4人/20人だから、やはり1位指名の選手が一番手堅く成功している。一方、一度も一軍公式戦に出場しないまま引退したのは柿田裕太(13年DeNA)、吉住晴斗(17年ソフトバンク)の2人だけ。俯瞰して見れば、ドラフト時点での評価はかなり正確であるのが分かる。ちなみに、期間内(13~21年)で通算WAR10以上の1位指名選手が一人もいないのはソフトバンクだけ(14年の松本裕樹が3.8で最多)。育成の成功例の影に隠れているが、1位指名では実は失敗が多い。

 もっとも、複数球団が競合した目玉級の選手が前評判通りの大スターになっているとは必ずしも限らない。1位選手のWAR上位10名のうち、森、吉田、今永、中村奨吾(14年ロッテ/22.8)、山岡泰輔(16年オリックス/18.7)の5人は単独入札。村上宗隆(17年ヤクルト/23.0)は外れ1位、近本光司(18年阪神/18.9)は外れ外れ1位だ。一方、ドラフト一番人気の選手が通算WARでもその年の1位になったのは21年の隅田知一郎(西武/1.6)だけで、これもまだ1年だけの数字でしかない。目玉の選手が意外に結果を残せていないことがデータから明らかになった。
 
●ドラフト2位:通算WAR203.0
▼ベスト5
1位 山川穂高(13年西武) 19.0
2位 加藤貴之(15年日本ハム) 18.1
3位 九里亜蓮(13年広島) 17.2
4位 石田健大(14年DeNA) 15.6
5位 森唯斗(13年ソフトバンク) 11.1

●ドラフト3位:通算WAR224.8
▼ベスト5
1位 源田壮亮(16年西武) 29.8
2位 茂木栄五郎(15年楽天)    22.7
3位 田中広輔(13年広島) 21.4
4位 外崎修汰(14年西武) 19.8
5位 田口麗斗(13年巨人/現ヤクルト) 17.6

 興味深いのは、2位指名より3位の方が通算WARを上回っている点。2位では山川が最高で、通算WAR20以上は1人もいないが、3位では3人もいる。源田、茂木、田中の3人は遊撃手、ないし元遊撃手であるのが共通点。内野の要を守りながら標準以上の攻撃力を備えていると、WARでは非常に高く評価される。

 もっともこれは2位の選手たちが振るっていないということではない。MVP受賞者である山川の他にも、最多勝の九里、セーブ王の森らのタイトルホルダーがいる。また牧秀悟(20年DeNA)はわずか2年でWAR8.3を稼いでいる
 
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