プロ野球

オリックス3連覇への道――FAで加入した森友哉と新助っ人の活躍で吉田正尚の穴を埋められるか【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.01.03

西武からFAとなってオリックス入団が決まった森。リーグ3連覇のキーマンとなるに違いない。写真:THE DIGEST写真部

 2021年はパ・リーグ優勝、22年はリーグ連覇と1996年以来の日本一を成し遂げたオリックス。だが、三連覇に向けて手を緩めていない。昨年11月、御堂筋に約30万~40万人が集まった優勝パレードの翌日、中嶋聡監督は高知県高知市での秋季キャンプに、太田涼、紅林弘太郎、宇田川優希らとともに参加していた。中嶋監督は「まだ秋季キャンプのことは言わんといて」としばらく日本一の余韻を味わっていたい雰囲気を醸し出していた。関係者によると、パレード終了後、高知組はバス移動したという。

 その後には、侍ジャパンの強化試合に選ばれていた宮城大弥、山崎颯一郎も合流。過去数年、コロナ禍でなかなか満足のいく練習ができなかった秋季キャンプが実現したのは、まだ若いチームにとって大きい。中嶋監督もブルペンに足を運び、育成も含めて普段あまり見ることのない選手をチェック。小林宏二軍監督とも情報交換をしていた。シーズン中は監督の前でアピールする機会が少ない選手たちが、目の色を変えて練習に励んでいた姿が印象的だ。

 このオフは"打の神"である吉田正尚が、ポスティングシステムを使ってメジャー移籍。一方、球団では吉田正の流出有無に関係なく、FAの森友哉、近藤健介を調査。「中嶋監督の下で野球をしてみたい」と話していたとされる森は、11月16日にスピード獲得決定。少年時代にバファローズJr.でプレーした森は、入団会見で「捕手出身の中嶋監督が指揮するチームでプレーすることが、自分のステップアップになると感じたので入団を決めました」と話している。

 中嶋監督は森を捕手として起用する意向。同級生でUー18日本代表でチームメイトだった若月健矢とポジションを競うことになるが、同じくU-18でともに戦った山岡泰輔とのバッテリーにも期待したい。
 近藤も是が非でも獲得したいところだったが、ソフトバンクとの激しい争奪戦の末、敗れてしまう。T-岡田、杉本裕太郎、福田周平、中川圭太、来田涼斗らのさらなる奮起に期待したいのはもちろん、ステフェン・ロメロを最後に当たりが出ていない助っ人外国人の働きもカギになる。

 中嶋監督はこの2年間を「(助っ人の状態が上がって来るのを)待ってられなかった」と振り返っていたが、一発のある外国人がクリーンナップに入ることで吉田正の穴を少しでも埋めたい。獲得濃厚とされるメジャー通算107本塁打のマーウィン・ゴンザレスに期待が集まる。

 投手陣では、シーズン終盤から日本シリーズにかけてセットアッパー、クローザーとして活躍したワゲスパックとの契約が締結したのは朗報。エース山本由伸を欠いてもカバーし切った層の厚い投手陣は2023年も安定感を増すはずだ。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させたことも。
 
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