プロ野球

メジャー移籍を事実上の封印。長期契約を締結した山﨑康晃が掲げる“ハマの守護神像”「夢が、横浜での優勝に変わっただけ」

萩原孝弘

2023.01.11

プロ入り8年目を迎える山﨑。中堅からベテランの領域に入りつつある彼が口にしたチームへの想いとは――。写真:徳原隆元

「前年に最下位で見た胴上げと、2位で見た胴上げは非常に違うものを感じたんです」

 神奈川県の厚木で行なっている自主トレで、横浜DeNAベイスターズの"小さな大魔神"こと山﨑康晃が、印象的な言葉を残した。
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 ひとつは本拠地の横浜スタジアム、そしてもうひとつは敵地の神宮球場。場所は違えど、同じヤクルトの高津臣吾監督が宙に舞う姿を山﨑は2年連続で見せ付けられたのである。

 しかし、ハマの守護神の目には同じ光景には映らなかった。

 21年シーズンは首位まで20ゲーム差を広げられた最下位だったが、22年は最終的には8ゲーム差をつけられたが2位に躍進。快進撃を続けた8月には、首位を快走していたヤクルトまで4ゲーム差に迫った。

 もっとも、「優勝」の二文字も見えた昨年は、最終的に8月26日からの直接対決で3連敗。「セ界一」への灯火は自然と消えていった。山﨑は「手の届く場所まで行きましたし、首位との攻防戦もありましたよね。そこでプレッシャーがかかりました。正直、チームの雰囲気が違ったこともありましたし、動きが違ったときもあったと思うんです」と冷静に回想する。
 
 ブルペンを引っ張る存在となっていた30歳は、「なんか『俺らにもできるんだ』っていう自信つくのがちょっと早ければ、結果はもうちょっと変わったかなと思います。どこか探っている自分がいるというか、僕自身もそういう気持ちは多少あったというか……」と言葉を絞り出した。

「そこはやっぱり首位との差なのかな。そこで喰ってかかってやらないといけないと思うんですよね。僕らが勝つことでもっとセ・リーグも面白くなったと思うんで」

「小さな大魔神になります!」

 鳴り物入りでプロの世界に飛び込んだ2015年。初セーブを挙げた直後のヒーローインタビューで初々しく宣言してから8年が経過した。クライマックスシリーズに、日本シリーズという檜舞台も経験した山﨑は、中堅、いやベテランの領域に入りつつある。だからこそ、勝ち切れないチームの現状にはしっかりと物申す。

「僕ら経験したメンバーがどっしりする、それを見た後輩たちがいつも通りやっていいんだって雰囲気がもっと出せるといいなと思いました。それまで味わったことのないプレッシャーを感じた選手がたくさんいたと思うんですよね」
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