成長著しい左腕が、“開幕投手”に名乗りを挙げた。

　沖縄県宜野座でキャンプ中の阪神タイガースは２月６日、降雨のため室内練習場でトレーニングを費やした。そして、この日はプロ３年目の伊藤将司がブルペン入りし、気迫のこもったピッチングを披露した。

　昨シーズンの最多勝、最優秀防御率の２冠を獲得した青柳晃洋、リーグ防御率２位の西勇輝がブルペンで「バシッ」とキャッチャーミットに鋭くボールが収まるピッチングをしていると、先発ローテーションの柱の一人である背番号27も、ブルペン入りした。

　ブルペン一番奥の位置についた26歳はキャッチャーを座らせると、左腕から伸びのあるストレートを投じる。徐々にギアを上げていくと、真っすぐはさらに勢いを増した。

　途中から、久保田智之投手コーチや井上広大らを右打席に立たせて、胸元を突くボールを何度も投じ、右打者対策にも取り組んだ。ストレート以外にも、スライダーやカーブ、カットなど変化球も試し、終わってみれば球数は102球を投じる力投だった。

　ストレートを軸にした投球について伊藤は、同じ左腕である球団OBの能見篤史氏とのトレーニングが好影響を与えていると振り返った。

「去年、能見さんと一緒にやらせてもらってストレートの重要性を再発見できた。ストレートがあって変化球があると思うので、ストレートをしっかり投げられるように、バッターが嫌がるストレートを投げたい」
  　プロ１年目に10勝、２年目に９勝を挙げ、先発ローテの柱として順調に成長している虎の左腕は「二桁勝利はもちろん、２年連続で規定投球回数を達成できていないので、今年は達成できるようにしたい」と具体的な数字を挙げると、シーズンの目標に“開幕投手”を宣言する。

「やはり先発をやっている以上は、開幕投手をやりたい気持ちは強いので。そこを任せてもらえるように、今キャンプは頑張っていきたい」

　チームの中から、より信頼された投手にしか与えられない”開幕投手”の称号。エース青柳とともに、左の剛腕が今シーズンも虎の先発陣を引っ張っていくに違いない。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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