プロ野球

元NPBの社会人チーム指揮官が初年度から快挙達成! アマ球界に新風を吹かせたショウワコーポレーション亀澤監督が抱く2年目の3つの野望とは?

萩原孝弘

2023.02.13

ショウワコーポレーションを率いて2年目の亀澤監督。昨年は就任1年目で21年ぶりのクラブ選手権本大会出場を果たした。(C) ショウワコーポレーション

 高校時代、甲子園には縁がなく、大学も設立初年度入学、トライアウトで独立リーグに入団後、ソフトバンク育成でプロの扉を開き、ドラゴンズで支配下を手にした亀澤恭平。決してエリートコースを進んでいた訳ではない。その場その場で常に野球に全力で打ち込み、一歩ずつ着実にステップアップ。中日時代には当時2軍監督だった佐伯貴弘氏に指導され「記憶が飛ぶほど練習した」と壮絶に自分を追い込んだ。結果53番を背負った5年間、421試合、日本最高峰の舞台でグラウンドを駆け巡った。

 
 自らの情熱で次々と厚い壁を壊していった男が現役引退後の昨年、岡山の美作市に籍を置く社会人チーム「ショウワコーポレーション」の監督に就任した。意気揚々とチームに合流したが「去年一年のスタートは野球を知らない、それどころか"ほうれんそう"も出来ず、基本的に野球をとりあえずやりたい連中の集まり」と選手たちとのモチベーションの違いに直面。

 思わぬ現状に苛まれながらも「地元に恩返しを」と誓い、引き受けた監督の座。「社長も野球が好きな方、ここで会社の価値を下げてはいけない」と気を引き締め直し「1から徹底的に」と実質ゼロからのスタートを切った。

 チームを変えるには「監督が一生懸命にならないと選手もついてこない。必死だった」と、選手たちと正面から対峙。「野球が出来る幸せ、会社を背負っているという責任感」を常日頃から植え付けた。その上で「向き合わないやつは、いらない。0か100か」と厳しさを前面に出し「ユニフォームを着てる以上、死ぬ気でやり抜くのはプロの時もそう、どこにいっても当たり前のこと」と自らの経験を伝授。プロで培った技術をわかりやすく、丁寧に指導しながらも「打った走った守っただけが野球じゃない。裏方、声出し、そういった陰の立役者を感じながら野球をする事が、本当の野球の面白さに繋がる」と心技体、すべての面でチェンジマインドさせるなど、あの手この手でチームを革新し続けた。

 徐々に浸透する亀澤イズム。熱意は結果となって現れた。真夏の全日本クラブ野球選手権大会の地区予選を勝ち抜き、中四国地区代表として全国の晴れ舞台まで進んだ。新人監督の一年目で、21大会ぶりとなる快挙を達成。元NPBの経験に基づいた指導手腕は、各方面から称賛された。
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昨年は通過点。2年目のターゲットは「都市対抗出場、クラブ選手権優勝、プロ輩出」