侍ジャパン

ダルビッシュ有が「なかなかできない」と称賛した投球スキル。佐々木朗希が37球で示した“怪物”ぶり【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.02.19

ブルペン後に佐々木と話し込むダルビッシュ。「令和の怪物」と称される逸材のピッチングには、さすがの彼も舌を巻いた。写真:梅月智史

 メディア、ファン、そして首脳陣とチームメイトの熱視線が注がれたなかで、"令和の怪物"が、ポテンシャルの一端を覗かせた。佐々木朗希(ロッテ)だ。

 ワールド・ベースボール・クラシックに向け、侍ジャパンの一員として宮崎での合宿に臨んでいる佐々木は、2月19日に初のブルペン入り。力強いストレートに、フォークとスライダーを織り交ぜて合計37球を投げ込んだ。

 投球後に「力が入ったりして、緊張した」と当人が語ったように、ブルペンで唯一投球していた背番号14には、大勢のギャラリーから熱視線が注がれた。バックネットでは、栗山英樹監督や吉井理人投手コーチら首脳陣に加え、ロサンゼルス・ドジャースのアンドリュー・フリーマン編成本部長もどっしりと構えた。

 ギャラリーに囲まれ、いつもとは異なる雰囲気が漂ったなかで、佐々木の投球に、ひときわ鋭い眼光を向けていたのは、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)だった。

 マスクを被った甲斐拓也の真後ろに陣取ったチーム最年長のベテラン右腕は、あえてプレッシャーをかけるかのように、佐々木の投じる一球を食い入るように見つめた。そしてピッチングが終わるやいなや、すぐさまトラックマンで算出されたデータをチェック。本人にも身振り手振りを交えて自身の抱いた感想を伝えた。
 
 無論、佐々木の秘めるポテンシャルは球界屈指だ。では、ダルビッシュの目には"怪物"のボールはどう映ったのか? 練習後の取材で「球も凄く速いですし、フォークも落ちてましたし、スライダーも良いものがあったと思います。本当に凄いものを持ってるなと感じました」と太鼓判を押した。

「(スライダー)は単純に凄く横曲がりが大きい。それを本人も違和感があるように投げてないので、本当にものにしているじゃないかなと思います」

「あれだけのスピードボールを投げられるのはもちろんなんですけど、やっぱりストライクを取るのに困らない。春のキャンプの時期であるにもかかわらず、3-2のカウントからスプリットを投げたりとかってなかなかできないことなので。あの年齢でそれができるって凄いなと思いますね」

「最近の若い選手は本当に凄いな」――。ダルビッシュからそうも称えられた佐々木。このWBCを通して、21歳の俊英がどこまで伸びていくかは大いに注目だ。

文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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