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MLB

「W杯はメッシを遠ざけない」カーショウの電撃辞退に米紙が警鐘! “保険問題”に「サッカーは心置きなくプレーできる」と皮肉

THE DIGEST編集部

2023.02.20

国際舞台で世界のライバルを倒したい。そんな願いをもってWBC参加を決意していたというカーショウ。しかし、彼の希望は通らなかった。(C)Getty Images

国際舞台で世界のライバルを倒したい。そんな願いをもってWBC参加を決意していたというカーショウ。しかし、彼の希望は通らなかった。(C)Getty Images

「保険の問題から『出場できない』と言われた時は、まさにサプライズだった。『出たい』と思う選手は出場させてほしいよ」

 これは2月17日(現地)に、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場を断念したクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)の言葉である。34歳にして、初の世界大会出場を願っていたベテラン左腕は、「保険の壁」に阻まれるような形で夢を断念せざるを得なくなった。

 21年に左前腕、昨年は腰痛と、近年は連続して長期離脱を余儀なくされていたカーショウは年齢も相まって、MLBが管理する保険会社からの出場許可が下りなかった。彼は個人で別の保険に加入し、何とか大会に出場する道を模索したが、国内での料金は「想像を絶するほど高額」(米紙『LA Times』より)だったために諦めるしかなかった。

 過去の故障歴もあってWBC出場は叶わなかった。おそらく選手を守ろうとする保険会社には合理的な理由が存在するが、「『出たい』と思う選手は出場させてほしい」という当人の訴えは重く響く。ゆえに国内ではWBCひいては、大会を主催するMLBへの批判的な声も聞こえてくる。
 
 ドジャースの地元紙『LA Times』は「書類の手続きでスター選手の出場が禁止されてしまう現状では、WBCは決してワールドカップにはなれない」とバッサリ。「野球の母国」でありながら国内での注目度の低さを指摘し、カーショウのようなスター選手が自由に参加できない現状を「MLBは大会を有意義なものに変えるために動くべきだ」と憂いた。

「サッカーのワールドカップは、書類の手続きだけで、アルゼンチン代表からリオネル・メッシを大会から遠ざけたりはしない。もちろんサッカーでもクラブと代表チームの間で少なからず対立は起こるが、違いは主要な国際大会の場合にクラブはFIFA(国際サッカー連盟)によってプレーヤーをそれぞれの代表チームに派遣する義務があることだ。この構造により、サッカー界では最高の選手が国際大会で心置きなくプレーを披露できる。これこそワールドカップが『世界の大会』たる由縁だ」

 これはサッカーとのレギュレーションやシステムの違いが大いに影響はしている。とはいえ、MLBがファンに向けた国際大会を“育てる”気力がなければ、さらなる野球の繁栄は厳しいものとなる。

 ファンや各国代表の首脳陣が望む『最強メンバー』が思うように実現しないWBCの現状は、野球界の未来のためにも改善の余地が大いにあると言えよう。

構成●THE DIGEST編集部

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