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侍ジャパン

“村神さま”も苦しい現状。貧打が悪目立ちする侍Jは期待していた打線が世界制覇への不安材料に?「芯で捉えられてない」【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.04

侍打線においては4番を任せられている村上。鈴木の離脱でよりキーマンとなってくる主砲だが、今のところ存在感は希薄なままだ。写真:滝川敏之

侍打線においては4番を任せられている村上。鈴木の離脱でよりキーマンとなってくる主砲だが、今のところ存在感は希薄なままだ。写真:滝川敏之

 3月3日に中日ドラゴンズとの壮行試合を行なった日本代表は、2対7で敗戦。先月25日と26日に行なわれたソフトバンク戦からの実戦3連勝とはならなかった。

 投打がかみ合わなかった試合内容にあって悪目立ちしたのは、侍打線だ。どうにも状態が芳しくない。この日も主軸から快心の当たりが聞こえてこなかった。4回裏に訪れた同点シーンも相手先発左腕の小笠原慎之介の与四球から得た1死一、三塁の好機で岡本和真(巨人)が放ったボテボテの三塁ゴロの間に何とか得たもの。むしろ打撃面で活発に映ったのは、6回表にアキーノが特大の一発を放つなど、10安打7得点と効率よく点を取った中日だった。

 とりわけ不安なのは、本大会でも打線の上位、あるいは中軸を担うであろう山田哲人、村上宗隆(ともにヤクルト)、山川穂高(西武)だ。直近3試合で3人が放ったヒット数はわずかに「1」。この中日戦で村上がライト前に放った単打のみである。

 通常のシーズンであれば、この時期はオープン戦が始まったばかりのタイミングだ。ゆえに調子が上がり切らないのは必然かもしれない。しかし、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕までは1週間を切っており、あまり悠長に待っていられない状況ではある。
 
 当人たちは、もどかしい現状をどう捉えているのか? 先の宮崎キャンプでは、「身体のキレを上げていければ」と語っていた村上は次のように話した。

「まだまだ打球も上がってませんし、なかなか芯で捉えられていない。いろんなことを考えて良くしていければと思う。とにかく今の時期は色々と試せる。打席の中でも1球1球感覚を変えたり、打ち方を変えたりして何が一番いいかを探しながらやっている」

 短期決戦においては1点が勝負を分ける。ゆえに相手にプレッシャーを与えていく意味でも、打者陣の奮起は必須だ。よく“打線”は「繋がり」とも形容される。足を絡めたトータル野球を標榜する栗山英樹監督のスタイルを考えても、重要なのはそうした機能性であり、主軸の目覚めである。

 鈴木誠也の離脱も相まって、主軸のコンディション向上が求められている。本大会までに残された実戦は3試合で、バットが湿り続ければ、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)、ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)のメジャー組におんぶにだっこという状態にもなりかねない。

 3大会ぶりのWBC制覇に向け、侍ジャパンは早くもターニングポイントを迎えている。「あれが壮行試合で良かった」と本大会で言えることを願うばかりだ。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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