侍ジャパン

異次元だった“ショウヘイ劇場”。たった15分の打撃練習に垣間見えた大谷翔平が「野球の神」と比較される理由【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.05

ライトスタンドの最上段へと打球をかっ飛ばし、ドヤ顔を浮かべた大谷。その圧倒的な飛距離にケージの奥にいた同僚たちも呆然とした。写真:滝川敏之

「僕は常に楽しいですよ」

 3月4日の中日ドラゴンズとの壮行試合の直前に実施された大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の打撃練習を目の当たりにし、前日に当人がいたずらっぽく笑いながら口にした言葉を思い出していた。
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 誰もが食い入るように見つめ、プレッシャーのあるなかでも、打撃練習を心底楽しんでいるように見えた。侍ジャパンの練習終了まで20分を切っていたタイミングで、バットを手にしてグラウンドに登場した背番号16は、「大谷が来るぞ」とどよめくスタンドを尻目にバッティングケージ内に入る。

 そして、見せつけたのは、「異次元」と言っても過言ではない打棒だった。しっかりと好球を見極めながら、あっさりとサク越えを果たすと、27スイング中9本をスタンドに放り込んだ。しかも4連発も披露し、そのうちの2本は推定160メートルのライトスタンド最上段にまで運んでみせた。

 興味深かったのは、打撃練習中の大谷の振る舞いだ。ライトスタンドの最上段にまでボールを運んだ際に、沸き返ったスタンドとケージの後ろから見守っていた山川穂高(西武)、山田哲人、村上宗隆(ともにヤクルト)らチームメイトに「どうだ!」と勝ち誇るかのようなガッツポーズを見せたのである。その冗談めいた表情は仲間と切磋琢磨する野球少年のそれであった。
 
 21年に満場一致でアメリカン・リーグのMVPを獲得した大谷は、昨季も「無理だ」と予想する人も少なくないなかで二刀流をシーズンを通して完遂。アメリカで"野球の神"と称されるベーブ・ルースでもできなかった「投打のW規定到達」という偉業も達成し、名実ともに球界ナンバーワンの選手となった。

 それでも彼に、鼻につくスターの驕りのようなものは見られない。むしろ漂うのは誰もが好きになってしまう好青年の雰囲気だ。「楽しんでいる」という冒頭の言葉がよぎったのは、それだからかもしれない。

 野球少年のように楽しみながらファンの期待に応えてしまうからこそ万人に愛される。わずか15分足らずの打撃練習だったが、大谷の図抜けたスター性が見えた。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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