侍ジャパン

「魂と魂のぶつかり合い」となった日韓戦。逆転直後の難局で快勝を手繰り寄せた“今永の11球”【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.11

ダルビッシュの降板、さらに逆転した直後という難しい局面で、見事なピッチングを披露した今永。写真:梅月智史

 3月10日に行なわれたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次リーグプールB第2戦で韓国代表と対戦した日本代表は13対4で勝利。準々決勝進出に向けて大きな一歩を踏み出した。
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 立ち上がりは苦しかった。序盤からやや制球に苦しんだ先発のダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)が、3回表に相手8番のヤン・ウィジに2ランホームランを打たれるなど3失点。先行される嫌な展開となったのである。

 それでも直後の3回裏にラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)と近藤健介(ソフトバンク)、そして吉田正尚(ボストン・レッドソックス)が3本のタイムリーをマーク。侍ジャパンは一気呵成の攻撃で逆転してみせる。

 どちらに流れが転んでもおかしくはない熾烈なシーソーゲームで、侍ジャパンにグッと流れを手繰り寄せたのは、ハマのエースだった。直後の4回表にダルビッシュに代わってマウンドに立った今永昇太(DeNA)である。
 
 球場全体が興奮に包まれ、どこか浮足立った空気が漂っていた。さらに言えば、与えられた役割はレギュラーシーズンではこなさない「ピギーバック」(第2先発の意)。その難しさは、送り出した栗山英樹監督も「先発をやっている人たちが自分のペースではないところでマウンドに上がる。とくに今日は非常に難しい流れだった」と振り返る通りだ。

 リードをしていても、難局。そんなマウンドに立った29歳だが、いつも通りにクレバーな投球を披露した。

 先頭打者の6番パク・コンウをたった2球でピッチャーライナーに打ち取った今永は、続く7番のカン・ベクホをいずれも150キロ台のストレートと緩いカットボールで翻弄して空振り三振に切る。そして最後は前の打席でダルビッシュから2ランホームランを打っていたヤン・ウィジを、この日の最速となる154キロのストレートでショートゴロを打たせて終わらせた。

 試合前に「魂と魂のぶつかり合いになる」と日韓戦の重みを語っていた栗山監督は、特有の重苦しい空気を振り払った今永を、こう絶賛した。

「初球からプレッシャーもあっただろうし、本当に難しかっただろうなと思う。でも、去年の秋から今永への信頼は僕の中で物凄くあった。本当に1番良いピッチャーがあそこで投げてくれたと思っている。ああやって結果で示すというのは流石」

 6回にパク・コンウにソロホームランを打たれて1点を失ったものの、結局3回(48球)を投げて1失点、3奪三振で降板。後続のリリーフに良いリズムで繋いだ今永。慣れない第2先発という役割にしっかりとアジャストした彼が4回に投じた「11球」は、侍ジャパンに勝利を引き寄せ、韓国を窮地に追い込んだのは間違いない。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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