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侍ジャパン

「日本キラー」の実力を誇るキム・グァンヒョンの今。“運命のいたずら”に泣いた2年前にはNPB移籍の可能性も【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.10

韓国の頼れるベテランとして、このWBCにも選出されたキム・グァンヒョン。迎える日韓戦は彼の老獪なパフォーマンスが注目される。(C)Getty Images

韓国の頼れるベテランとして、このWBCにも選出されたキム・グァンヒョン。迎える日韓戦は彼の老獪なパフォーマンスが注目される。(C)Getty Images

 運命の大一番で大役を任されるベテランに熱視線が注がれている。3月10日に行なわれるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のプールB第2戦、日本代表とのライバル対決に、先発登板を果たす韓国代表のキム・グァンヒョンだ。

 まさに崖っぷちの状況でのビッグゲームだ。9日に行なわれたオーストラリア代表との開幕戦で韓国は7対8と敗戦。試合後にイ・ガンチョル監督が「ミスが多かった」と漏らしたように、壮絶なシーソーゲームのなかで投手陣の失投が仇となった。

 この日韓戦で負ければ、韓国は1次リーグ突破が厳しくなる。ゆえに国内でも逆風は強まっており、日刊紙『スポーツソウル』は「ほとんどのポジションで我々の方が劣勢だ」と悲壮感を漂わせている。

 そんな逆境で大役を任されたのが、キム・グァンヒョンだ。

 現在34歳。日本で言えば、田中将大(楽天)や前田健太(ミネソタ・ツインズ)、坂本勇人(巨人)らと同じ、いわゆる「ハンカチ世代」のキム・グァンヒョンは“日本キラー”としても名高い。キッカケとなったのは、2008年に開催された北京五輪の準決勝。当時、弱冠二十歳だった彼は、侍ジャパンを相手に8回2失点と好投。国内で「栄光の時」と称される金メダル獲得に貢献したことで球界での成果を高めた。

 過去には、実は日本でプレーする可能性もあった。
 
 新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっていた21年12月にMLBが26年ぶりとなるロックアウトに突入した時だった。移籍市場が凍結した影響により、当時セントルイス・カーディナルスからフリーエージェントとなっていたキム・グァンヒョンは宙ぶらりんの状況に。必然的に交渉が可能だったNPB行きの可能性が浮上したのだ。

 当時の日刊紙『朝鮮日報』は次のように伝えている。

「限られてはいるが、日本球団であれば、キム・グァンヒョンの獲得を試みることができる。年俸400万ドルは決して安くはないが、読売ジャイアンツ、ソフトバンク・ホークス、楽天イーグルスであれば、準備できない額ではない。ただ、本人がMLBの球団から、それ以上のオファーを受けた場合、日本勢はより巨額を投資しなければならない」

 最終的にキム・グァンヒョンは、22年3月にKBOリーグ(韓国プロ野球リーグ)名門SSGランダーズと4年151億ウォン(約14億1400万円)の大型契約を締結した。ちなみに2年ぶりの母国復帰を果たしたのだが、その3日後に99日間も続いていたMLBのロックアウトが終了。FA交渉が一気に動き出し、運命のいたずらに泣いた。この時に「MLBで続ける夢は諦めたくなかった」と語った本人の言葉も話題となった。

 もっとも、34歳となって今も実力は健在だ。22年シーズンは28登板で、13勝(3敗)をマーク。さらに防御率2.13、WHIP(※1投球回あたり何人の走者を出したかを表す数値。1点台で素晴らしいとされる)1.07という圧巻のスタッツも記録。これは「超」がつくほどの打高投低の韓国球界であっても見事な成績と言えよう。

 韓国を率いるイ・ガンチョル監督が「序盤にチームを引っ張ってくれるのはベテランだ。こういうシチュエーションもあって、彼のような経験豊富なピッチャーを選ぶしかない」と満を持して送り出すキム・グァンヒョン。韓国球界を牽引してきた左腕が、「史上最強」と称される日本打線にどう立ち向かうかは興味深く見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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