侍ジャパン

“野球大国”キューバ、東京で復活!? メジャーリーガー参戦の陰にあった苦闘の日々「参加を嫌がる人たちもいた」【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.16

勝利の瞬間、マウンドに集まって喜び合ったキューバの面々。このチームワークもまた強さの秘訣だ。写真:CTK Photo/アフロ

 野球大国が帰ってきた。

 3月15日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準々決勝が東京ドームで行なわれ、キューバ代表がオーストラリア代表を4対3で撃破。同大会では2006年の第1回大会以来となる準決勝進出を果たした。
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 手に汗握る接戦だったが、投打がかみ合ったキューバが意地を見せた。2回表にオーストラリアに先制を許したものの、3回裏に同点に追いつくと、5回裏に無死満塁の絶好機でアルフレッド・デスパイネが犠牲フライを放って勝ち越し。そして1死満塁となってからヨエルキス・ギルベルトの2点タイムリーで一気に突き放した。

 終盤は指揮官のアルマンド・ヨンソンが「本当に良い働きをしてくれた」と絶賛したリバン・モイネロとライデル・マルティネスのNPB助っ人投手リレーで逃げ切り。粘るオーストラリアを退けた。
 
 試合終了直後、まるで優勝したかのようにマウンド上ではしゃぐ彼らの姿に、ここまでの苦労が滲み出た。かつてはオレステス・キンデラン、アントニオ・パチェコ、オマール・リナレスなど世界屈指の強打者を擁して「赤い稲妻」の異名を取ったキューバ。しかし、ここ20年近くは、国内の有望選手がメジャー移籍を狙って相次いで亡命。必然的に代表の競争力も衰退し、3度の金メダル獲得を果たしている五輪を含めた国際大会で無敵を誇ったチームの姿は見る影もなくなっていった。

 だが、今大会から潮目が変わった。アメリカ合衆国政府の許可が下りたことで、国外へ亡命していた有力選手たちの参加が認められたのだ。これにより多くのメジャーリーガーたちが代表チーム参戦に動き出したのである。

 もっとも、大会直前までは苦難の連続だった。契約上の問題や各球団との交渉からメジャーリーガーを思うように招集できなかったのである。そのためにメジャーリーガーたちを日本での事前合宿に呼べなかったのである。

 それでも最終的にヨアン・モンカダとルイス・ロバートというメジャーでも屈指のポテンシャルを誇る強打者の招集に成功。長くアメリカでの生活を続けていた両雄だけに、チームに徐々に馴染ませていったという。
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「ここまで途方もない努力を重ねてきた」