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劇的勝利後の歓喜の中で守護神が負傷。同僚たちが涙したプエルトリコの悲劇に米記者も嘆き「こんな試合は記憶にない」【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.16

悲痛な面持ちでグランドを去るE・ディアス。圧巻の三者連続三振で勝利を手繰り寄せた快投から数分後の出来事だった。(C)Getty Images

 歓喜の輪ができた刹那の出来事だった。

 現地3月15日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、1次ラウンド・プールDの第4戦が行なわれ、プエルトリコが2013年第3回大会王者であるドミニカ共和国に5対2で撃破。勝者が準々決勝に進出する大一番を制した。

 試合終了直後、プエルトリコの面々は三者連続三振という圧巻の仕上げを披露した守護神エドウィン・ディアスのもとへと駆け寄った。そして準々決勝進出に誰もが歓喜したのも束の間、マウンド付近の雰囲気が変わる。輪の中心にいたディアスがグラウンドに倒れ込んでいるのだ。

 右足に力が入っていないE・ディアスは、涙する弟のアレクシス・ディアスら仲間に見送られながら、スタッフに両肩を担がれてベンチへ。そのまま最後は車いすでグラウンドを後にした。

 メジャーリーグのレギュラーシーズンを目前に控えた同大会にあって、一番起きてほしくはない悲劇だった。試合後に殊勲打を放ったキケ・ヘルナンデスが「控室は静かだった。心配するのは当たり前だ。ドミニカを倒して準々決勝に行ったという空気じゃなかった」と振り返ったシーンは、米メディアでも波紋が広がっている。
 
 E・ディアスの所属するニューヨーク・メッツを追う米スポーツ専門局『SNY』のアンディ・マルティーノ記者は「アレクシス・ディアスが泣いている姿を見るとゾっとする恐ろしさを感じずにはいられない。あんなにもドラマチックでありながら勝者にとって暗い結末となった、こんな試合は記憶にない」と嘆いた。

 また、米スポーツ専門局『Fox Sports』のアナリストであるベン・バーランダー氏も意見。E・ディアスの怪我に関して、一部のファンからWBC開催への批判的な声が相次いだことを受け、「なんてことだ。とにかくいまはマイアミで起きた最悪の出来事を思わずにはいられない」としたうえで、こう持論を展開した。

「エドウィン・ディアスはガッツポーズをしていたんだ。だからこれだけはハッキリと言っておくよ。2023年のWBCは球界に奇跡をもたらし続けている。それに今春にはマイケル・ソロカはロッカールームに入ろうとして怪我をしたし、ギャビン・ラックスは春季キャンプで怪我をした。すべて不慮の事故だ」

 明日以降でレントゲン検査を受け、怪我の状況を判断するというE・ディアス。退場する際の様子を見る限りでは長期離脱の可能性もありえそうなだけに、プエルトリコにとっては何とも後味の悪い決着となった。

構成●THE DIGEST編集部

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