ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）の大一番に起きた“悲劇”が波紋を呼んでいる。

　現地３月15日、ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）は、1次ラウンド・プールDの第4戦が行なわれ、プエルトリコが2013年第3回大会王者であるドミニカ共和国に５対２で撃破。勝者が準々決勝に進出するビッグゲームを制したのである。

　波紋を呼んでいるのは、試合終了直後のワンシーンだ。マウンド上で飛び跳ねながらチームメイトたちと喜びを分かち合ったプエルトリコの守護神エドウィン・ディアスが、突然グラウンドに倒れ込んだのだ。

　まさかのアクシデントにプエルトリコの面々は顔面蒼白。弟のアレクシス・ディアスは、悲痛な面持ちでスタッフに抱えられる兄の姿に号泣。決勝打を放ったキケ・ヘルナンデスは「ドミニカを倒して準々決勝に行ったという空気じゃなかった」と振り返るほどの事態となった。
  　通常であれば、開幕を控えるスプリングトレーニング期間中だ。それだけにE・ディアスの負傷を受け、SNSや米メディア間ではWBCの開催時期への批判の声が上がった。

　これに対して、真っ向から異論を唱えたのはアメリカ代表の面々だ。米紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者によれば、主将のマイク・トラウトは「WBCを責めるのはフェアじゃない」とコメント。さらに米紙『San Diego Union Tribune』の取材に応じたメッツの主砲であるピート・アロンソは「彼のことを考えると胸が張り裂けそうになる」と、所属球団の同僚を慮ったうえで、こう続けた。

「どんな時もグラウンドに立てば、怪我をするリスクはある。この仕事には危険が伴うんだ。怪我は僕らが野球をするうえで背負うものだし、残念だけどゲームの一部だ」

　無論、スター選手たちの一連の発言には、E・ディアスが所属するメッツファンを中心に反発の声も噴出。しかし、米メディア『Barstool Sports』のジャレッド・カラビス記者は自身のツイッターで「適当なアカウントでWBCを批判する連中はトラウトなんかより野球を知ってんだろうね」と意見した。

構成●THE DIGEST編集部

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