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侍ジャパン

球質は“メジャーレベル”。ダルビッシュ有ではなく今永昇太を選んだ栗山英樹監督の左腕に対する絶大な信頼【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.21

アメリカとの大一番での先発を託される今永。そのピッチングに熱視線が注がれている。写真:梅月智史

アメリカとの大一番での先発を託される今永。そのピッチングに熱視線が注がれている。写真:梅月智史

 侍ジャパンが悲願の世界一まであと一歩と迫った。

 現地3月20日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝のメキシコ代表戦に挑んだ日本代表は、1点ビハインドの9回裏に村上宗隆(ヤクルト)の2点タイムリーで6対5と逆転。ドラマチックな展開で、大接戦をモノにした。

「野球ってすげえなって」

 試合後に栗山英樹監督は、涙ながらにそう語った。普段はクレバーな指揮官がエモーショナルになるほど、この勝利は大きなものだった。

 無論、喜んでばかりもいられない。明日にはアメリカ代表との決勝がやってくる。栗山監督は試合後の会見で「スタートは、今永で行きます」と先発投手を断言した。
 
 もっとも、準決勝の終了時点ではダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)の先発も囁かれていた。だがしかし、指揮官は世界一を懸けた運命の大一番を今永昇太(DeNA)に託したのである。

 栗山監督が今永にビッグゲームを左右する重要なマウンドを託すのは、絶大なる信頼があるからにほからない。今月10日の日韓戦でダルビッシュが降板した直後に登板し、3回を1失点、3奪三振と追い上げにかかる相手打線を封じ込めた際には「去年の秋から今永への信頼は僕の中で物凄くあった。本当に一番良いピッチャーがあそこで投げてくれた」と褒めちぎっていた。

 NPBに所属する投手たちの多くが、通常よりも滑るというWBC球に苦しむなか、「僕は失敗してからじゃないと気づけない。少しの不安を持った方が僕は良い」と攻略法を追い求め続けた今永は淡々とアジャストしていった。事実、彼は今大会で自己最速となる154キロをマーク。先述の韓国戦では昨季にメジャーリーグでトップの回転数を誇ったタナー・スコット(マイアミ・マーリンズ)のそれを凌駕する最高2678回転も記録した。

 こうしたパフォーマンスを見ても、29歳の左腕がアメリカとのビッグゲームに抜擢されるのは納得がいく。対峙するのはマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)やポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)らが顔を並べる世界屈指の強力打線だが、満を持して送り出される今永には期待をせずにはいられない。

構成●THE DIGEST編集部

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