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プロ野球

プロ初登板で開幕投手に。高卒3年目の長身右腕・山下舜平大の急成長の軌跡【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.03.29

山下(写真)はWBC侍ジャパン入りした髙橋宏斗と同世代。故障などもあって過去2年は一軍登板なしも、いよいよ飛躍の時か? 写真⚫︎THE DIGEST編集部

山下(写真)はWBC侍ジャパン入りした髙橋宏斗と同世代。故障などもあって過去2年は一軍登板なしも、いよいよ飛躍の時か? 写真⚫︎THE DIGEST編集部

 山本由伸と宮城大弥の左右両エースをワールド・ベースボール・クラシック(以下WBC)日本代表に派遣したオリックス。このため、2023年の開幕投手は山岡泰輔と田嶋大樹の争いと見られていたが、ここに来て20年ドラ1右腕・山下舜平大の名が急浮上している。

 福岡大大濠高からプロ入りした山下は、190センチの長身から投げ下ろす速球の評価が高く、20年ドラフトでは最高の素材型右腕とも言われるほどの逸材。1年目は防御率5点台ながら二軍でローテーションをまっとう。2年目の昨季も5月に腰痛を発症したこともあって一軍登板はなかったが、2年間の研鑽の甲斐あってストレートは最速158キロに到達。カーブやフォークとのコンビネーションも評価が高い。

 3年目となる今季、春季キャンプではスロー調整だったものの、それでも好調を維持しながらオープン戦に突入。すると4登板で2勝0敗、防御率2.35をマークして急激に頭角を現した。24日の阪神戦では6回を投げて3安打2失点、7奪三振と好投。31日の西武との開幕戦で、一軍デビューの先発マウンドを飾ることが有力となっている。
 
 阪神戦では大山悠輔に2ランを被弾したことで、「あそこでストライクを取れる球がないとああいうバッターは抑えられない」と反省の弁を述べたが、「初回はちょっとバランスが悪かったんですが、2回以降は少し立て直せた」 と手ごたえも感じた様子。直球とフォークを効果的に織り交ぜて奪った7三振は、「(これまで)しっかりフォークで取れたのはあまりなかったので、三振の内容も良かったと思う」と振り返る改心の投球だった。

 開幕投手に関しては「本当にまったく何も言われていないです。これから次の登板は言われると思うので、そこに向けて自分は練習するだけ」と淡々としている山下。あくまで「まだ本当にローテーションに入るかも言われていないので、自分をアピールするだけだと思うし、そこで結果をしっかり残せるように練習したい」と、あくまで与えられた場面に向けて気を引き締める構えだ。中嶋聡監督が昨年の日本シリーズで「空気を吸わせるため」に一軍に帯同させるなど、緊張感ある場面に触れさせてきた甲斐があったようだ。

「宇田川(優希)さんに大谷(翔平)さんだったり、ああいう選手は意識が違うというのを聞きました」 と、WBC参加組からの情報収集にも余念がない。「まず(プロ)初勝利があるので、そこはクリアしたい。勝てるピッチングができたらと思う」 と力強く話した若手右腕のピッチングで、開幕からチームに勢いをつけたい。

文●どら増田

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