現地時間３月30日にメジャーリーグが開幕。ロサンゼルス・エンジェルスは、敵地でオークランド・アスレティックスと対戦。注目を集めた大谷翔平は、戦前の決定通りに「３番・DH兼投手」で先発登板し、２年連続の開幕投手を務めた。

　初回にマウンドこそ球場の冷え込みのせいか、やや制球に苦しんだ大谷。だが、徐々に慣れていくと小気味いい投球でアスレティックス打線を翻弄。今季から導入された新ルールの「ピッチクロック」も影響してテンポよく投げていった。

　そうしたなかで、４回裏に初のピンチを招く。１死無塁からアレドミーズ・ディアスに今季初ヒットを許すと、続く４番セス・ブラウンに二塁打を打たれ、１死二、三塁の局面を作られてしまったのだ。

　ただ、ここで右腕のギアが上がった。長打力のあるヘスス・アギラを92.5マイル（約148.8キロ）の２シームで空振り三振に仕留めると、続くラモン・ローレアーノはカウント２-２から101マイル（約162.5キロ）の４シームでふたたび空振り三振に。文字通り力で相手打線をねじ伏せ、失点を許さなかったのである。
  　最後の打者を打ち取った直後には「シャーッ」と目いっぱいに叫んだ大谷。試合を中継していた米スポーツ専門局『Bally Sports West』で解説を務めたマーク・グビサ氏が「101マイル!? ショウヘイは高速道路を走ってるのか」と脱帽したエースの気迫あふれる姿に“女房役”が呼応する。直後の５回表に１死３塁のチャンスを創出すると、若手捕手のローガン・オホッピーがタイムリーを放ち、先制点をもたらしたのである。

　打線の援護を受けた大谷は６回もディアスにこの試合３つ目の四球を許したものの、後続を危なげなく抑えてスコアボードに「０」を刻む。ここで投球数が93に達したために降板。７回からはジミー・ハーゲットがマウンドに立った。

　結局、2023年の初登板は６回（93球）を投げて、被安打２、10奪三振、無失点と完璧な投球を披露した大谷。ちなみにエンジェルスの球団史において開幕戦で２桁奪三振を記録したのは史上４人目の記録であった。これを打者としてヒット（３打数１安打）を記録しながらやってのけるのだから、あらためて驚きである。

　もっとも、試合は８回裏に２点を奪ったアスレティックスが２対１で逆転勝利。昨シーズンも継投に苦しんだエンジェルスは、今シーズンも初陣からその課題が浮き彫りとなり、「なおエ」（「なおエンジェルスは試合に敗れました」のネットスラング。巷で皮肉的な意味で流行った）で初戦を落とした。

構成●THE DIGEST編集部

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