4月15日、エンジェルスは昨年のドラフト全体13位で指名した若手遊撃手のザック・ネトを2Aから昇格させた。
2022年ドラフト組では最速のメジャーデビューで、マイナーをわずか44試合で"卒業"したのだからすごい。入団直後から持ち前の打撃センスを存分に発揮し、若手有望株マニアの間ではすでに話題を集めていたネトだが、それでもこのタイミングでの昇格はさすがに予想外だった。
今回のネト昇格は、別の意味でも驚きだった。代わりにマイナー降格を告げられたのが、デビッド・フレッチャーだったからだ。大谷翔平と同じ2018年にメジャーデビューした彼は巧打と堅守、そして複数ポジションをこなす汎用性を武器に台頭。20年にはリーグ3位の打率.319を記録し、翌年4月には5年2600万ドルの長期契約も勝ち取った。
だが、皮肉にもその年から成績が急降下してしまう。21年は自己最多の15盗塁を記録したとはいえ、OPS(出塁率+長打率)は前年から200ポイント近くも下降してしまった。昨季は左股関節や右手の故障でわずか61試合の出場にとどまり、前年に続いて打撃も振るわなかった。
そして迎えた23年シーズンは、ジオ・アーシェラやブランドン・デュルーリーの加入もあって出場機会が激減。チームが13試合を消化したで先発出場はわずか4回、16打数2安打で打率.125という成績だった。
フィル・ネビン監督はフレッチャーについて「週に1回しか(先発で)プレーできないようでは、状態を戻すことは難しい」と説明。「彼はまだチームの大事な一員だ」と気遣った。
ただ、監督のコメントとは裏腹に、フレッチャーの今後のキャリアには暗雲が立ち込めている。最大の問題はあまりにも非力な打撃だ。もともと長打力は皆無に等しかったが、20年に.376とよく打っていた速球系の打率が翌年以降は.280→.233と右肩下がりで、今季は.071。高めの速球に詰まらされて凡フライを打ち上げる姿が目立つようになった。また、股関節の故障の影響からか、かつては平均以上だったスピードにも陰りが出ている。
さらに頭が痛いのが、今季も含めて3年2000万ドルもの契約が残っていること。これでは、トレードに出そうにも獲得に名乗りを上げるチームが現れない可能性が高い。ネトが期待通りに結果を出した場合、このまま3Aで"塩漬け"にされてしまうことも考えられる。もし運良く引き取り手が現れても、エンジェルスが残り契約の大半を負担しなければトレードはまとまらないだろう。
大谷とも仲が良く、イタリア代表として出場した3月のWBCでは日本戦にも出場していたフレッチャー。日本でも人気を集める好漢に、厳しいメジャーの現実が突きつけられている。
構成●SLUGGER編集部
2022年ドラフト組では最速のメジャーデビューで、マイナーをわずか44試合で"卒業"したのだからすごい。入団直後から持ち前の打撃センスを存分に発揮し、若手有望株マニアの間ではすでに話題を集めていたネトだが、それでもこのタイミングでの昇格はさすがに予想外だった。
今回のネト昇格は、別の意味でも驚きだった。代わりにマイナー降格を告げられたのが、デビッド・フレッチャーだったからだ。大谷翔平と同じ2018年にメジャーデビューした彼は巧打と堅守、そして複数ポジションをこなす汎用性を武器に台頭。20年にはリーグ3位の打率.319を記録し、翌年4月には5年2600万ドルの長期契約も勝ち取った。
だが、皮肉にもその年から成績が急降下してしまう。21年は自己最多の15盗塁を記録したとはいえ、OPS(出塁率+長打率)は前年から200ポイント近くも下降してしまった。昨季は左股関節や右手の故障でわずか61試合の出場にとどまり、前年に続いて打撃も振るわなかった。
そして迎えた23年シーズンは、ジオ・アーシェラやブランドン・デュルーリーの加入もあって出場機会が激減。チームが13試合を消化したで先発出場はわずか4回、16打数2安打で打率.125という成績だった。
フィル・ネビン監督はフレッチャーについて「週に1回しか(先発で)プレーできないようでは、状態を戻すことは難しい」と説明。「彼はまだチームの大事な一員だ」と気遣った。
ただ、監督のコメントとは裏腹に、フレッチャーの今後のキャリアには暗雲が立ち込めている。最大の問題はあまりにも非力な打撃だ。もともと長打力は皆無に等しかったが、20年に.376とよく打っていた速球系の打率が翌年以降は.280→.233と右肩下がりで、今季は.071。高めの速球に詰まらされて凡フライを打ち上げる姿が目立つようになった。また、股関節の故障の影響からか、かつては平均以上だったスピードにも陰りが出ている。
さらに頭が痛いのが、今季も含めて3年2000万ドルもの契約が残っていること。これでは、トレードに出そうにも獲得に名乗りを上げるチームが現れない可能性が高い。ネトが期待通りに結果を出した場合、このまま3Aで"塩漬け"にされてしまうことも考えられる。もし運良く引き取り手が現れても、エンジェルスが残り契約の大半を負担しなければトレードはまとまらないだろう。
大谷とも仲が良く、イタリア代表として出場した3月のWBCでは日本戦にも出場していたフレッチャー。日本でも人気を集める好漢に、厳しいメジャーの現実が突きつけられている。
構成●SLUGGER編集部