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ヤンキースの大谷翔平獲得が現状では「不可能」な理由。故障がちの“超高給DH”の存在がネックに<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.04.21

元MVPのスタントン(左)だが、近年は故障がち。彼がいる限り、ヤンキースは大谷(右)獲得に動けない。(C)Getty Images

元MVPのスタントン(左)だが、近年は故障がち。彼がいる限り、ヤンキースは大谷(右)獲得に動けない。(C)Getty Images

 大谷翔平(ロサンジェルス・エンジェルス)が約11か月ぶりにニューヨークへ戻ってきた。現地4月18日、“(ベーブ・)ルースが建てた家”とも呼ばれる初代ヤンキー・スタジアム開場100周年の記念すべき試合で、いきなり初回にホームラン。弾丸ライナーで右中間スタンドに叩き込み、ニューヨークのファンの度肝を抜いた。

 昨年あたりから、大谷がニューヨークに来ると決まって話題に上るテーマがある。今季終了後にFA(フリーエージェント)となる彼の移籍先だ。オーナーのスティーブ・コーエンが規格外の“爆買い”を続けるニューヨーク・メッツ、そして本来は球界一の金満球団であるはずのヤンキースは、大谷の有力移籍先候補として必ずと言っていいほど名前が挙がる。日本でも、昼のワイドショーでヤンキースの大谷獲得が取り上げられているくらいだ。

 だが、少なくとも現時点では、ヤンキースは大谷獲得に動けない。

 昨オフ、主砲のアーロン・ジャッジと9年3億6000万ドルで長期契約を交わしたから、というのはあくまで副次的な問題でしかない。カネの話は、オーナーがGOサインを出せば何とでもなるからだ。

 仮に大谷がピンストライプのユニフォームを着たいと熱望したとしても、現在のヤンキースには動くに動けない事情がある。

 ジャンカルロ・スタントンの存在だ。

 2017年に59ホーマーを放って本塁打王とMVPに輝いたスタントンだが、翌年のヤンキース移籍後は度重なる故障に苦しみ、まともに稼働できない年が続いている。昨季は地元LAで行われたオールスターでMVPに選ばれたものの、直後に左アキレス腱を故障して2ヵ月近くIL入り。打率(.211)とOPS(.759)は自己ワーストに終わった。そして、今季も開幕早々に左太腿裏を痛めて戦列を離れた。
 
 この故障の多さと33歳という年齢を考えると、スタントンにとっての最適ポジションがDHであることは火を見るよりも明らか。そうすると、大谷との共存は不可能ということになってしまう。しかも頭が痛いことに、マーリンズ時代に結んだ13年3億2500万ドルの超大型契約は、来季以降も4年1億2800万ドル分も残っているため、トレードに出すのも難しい。

 少なくともこの「スタントン問題」を処理しない限り、ヤンキースの大谷獲得は考えにくい。日米問わず、大谷のヤンキース入りはこれまでもたびたび話題となってきたが、この問題が議論されることがほとんどないのは何とも不思議だ。

 ただ、「ウルトラC」の解決策がないではない。他球団で同じように不良債権化している選手とのトレードだ。

 たとえば、スタントンとの交換で、先発右腕のスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)や三塁手とのアンソニー・レンドーン(エンジェルス)を引き取った場合、不良債権を抱えること自体は同じでも、DH枠が空くというメリットがある。そうなれば、金銭面以外での大谷獲得への障壁はなくなる。

 もちろん、簡単にはいかないだろう。だが、そこまでしないとヤンキースの大谷獲得が現実味を帯びてこないのもまた事実だ。ドジャース、メッツ、パドレスなどが候補に上っている大谷の移籍先。そこにヤンキースが加わるのか。超名門球団の動向は今後も注目の的になりそうだ。

構成●SLUGGER編集部
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