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「子どもの命に賭けて不正はしていない」「明らかに一線を越えていた」シャーザーの違反投球事件で食い違う証言<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.04.20

ロジンと汗が混じっただけだと主張したシャーザーだったが、審判は「不正投球」と認定した。(C)Getty Images

 4月19日(現地)、サイ・ヤング賞を3度も受賞した大投手マックス・シャーザー(メッツ)が不正投球で退場処分を受けるというショッキングな事件が起きた。

 一体、フィールドで何が起きていたのだろうか。

 敵地でのドジャース戦に登板したシャーザーは2回終了後、審判からロジンと汗でベトついた手を洗うよう求められた。シャーザーは審判団の要請に応じてアルコールで手を洗ったが、3回終了後にさらにもう一度手を洗うことと、グラブを変えるよう申し渡されたという。

 MLB職員の監視の下、再度アルコールで手を洗い、グラブも変えて4回のマウンドに立とうとしたシャーザーだったが、それでも審判団は満足せず、ついには退場処分を言い渡された。シャーザーは身振り手振りも交えながら「ロジンだ!」と激しく主張したが、審判団には聞き入れられなかった。

 MLBの規定では、ロジンの使用は手首や前腕にのみ認められ、グラブやユニフォームに付着させることは禁止されている。今回のシャーザーはグラブにロジンがついていたことが不正行為と見なされたようだ。
 
 シャーザーは試合後の会見で「子どもたちの命に賭けて(異物は)使っていない」と不正を強く否定。「MLB職員の目の前で言われたことを正確にやったのに、どうして退場になるのか分からない」「(グラブに異物をつけて)4回のマウンドに戻っていったとしたら、完全なバカじゃないか」と審判団の対応を批判した。

 一方、球審のダン・ベリーノによると、シャーザーの手のベトつき加減は「明らかに一線を越えていた」。「投手の手をチェックするようになってもう3年経つが、これまで見たことがないほどだった」だったという。

 MLBは2021年6月から粘着物質を使った不正投球の取り締まりを強化。規定違反で退場処分を受けた投手は今日のシャーザーで3人目となるが、いずれもフィル・クージがクルーチーフを務めた試合で起きている。このため、一部のメディア関係者やファンからは、審判の間でも基準がまちまちなのではないかという批判も出ている。

 不正投球で退場となった投手には、即10試合の出場停止処分が下されるが、おそらくシャーザーはMLB機構に不服を申し立てるはず。球史に残る大投手が"有罪確定"となるか、注目される。

構成●SLUGGER編集部

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