現地4月26日のドジャース戦で、パイレーツから一人の新人がデビューした。33歳のオールドルーキー、ドリュー・マッジだ。
8対1と大差をつけた8回に、マッジはアンドリュー・マッカッチェンの代打で登場。場内アナウンスで名前が告げられた瞬間、場内はスタンディングオベーションでマッジのデビューを祝福。本人も喜びを噛みしめ過ぎたのか、思わず長く打席を外してピッチクロックによりストライクを告げられてしまう場面もあった。結局空振り三振に倒れたが、ラストボールの低めのスライダーをスウィングした後は、振り逃げを狙って一塁に走るなど、存分に初打席を楽しんだ様子だった。
マッジは2010年のドラフト15巡目(全体447位)でパイレーツに入団。内外野を守れる俊足のユーティリティ・プレーヤーという“器用貧乏”な個性もわざわいしてか、好成績を残しても、思うようにマイナーの階段を上がることができなかった。結局、プロ5年目の14年までは2A止まりのまま、一度パイレーツを離れている。
その後、マッジはエンジェルスやドジャースなど5球団を渡り歩いた。ツインズ時代の21年には待望のメジャー昇格の機会が巡ってくるも、この時は2日間ずっとベンチに座って過ごし、デビューはお預けに。気づけば、マイナー生活は実に13年、すでにマイナー通算1000試合を突破している。
昨年からパイレーツに復帰したマッジだったが、今季は2Aでの開幕。平均年齢23歳の若い選手たちに囲まれながらも、33歳のマッジはあきらめなかった。4月23日についにメジャー昇格が告げられた際は、しばらく呆然自失となった後で、放送禁止用語を連発して喜びを爆発させた。
「大変な13年間だった。多くの浮き沈みを経験したし、チームメイトも山ほど変わった。怪我もしたし、他にもたくさんのことが起こった」と、あまりにも長すぎる雌伏の時を振り返ったマッジ。それでも、「この瞬間がいつか来ることをずっと信じていた」という。そんなマッジの諦めない姿勢がもたらしたデビューまでの軌跡は、これからも長く語り継がれていくことだろう。
構成●SLUGGER編集部
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