球界最年長左腕が、偉大なレジェンド投手に肩を並べた。

　ヤクルトの石川雅規が５月10日の阪神戦（甲子園）に先発し、５回1/3を投げて４安打、無失点と好投。救援陣も猛虎打線をシャットアウトし、チームは５対０で完封勝ちした。

　43歳のベテラン左腕が今季初白星を手にした。これで石川はプロ１年目から22年連続勝利のプロ野球タイ記録をマーク。1956年から77年に米田哲也（近鉄）が樹立した偉大な記録に並んだ。

　4月20日の中日戦（神宮）以来、今季3度目の先発マウンドに上がった石川は、134キロの直球や110キロのカーブ、シンカーやスライダーなど多彩な球種をコースに投げ分け、緩急をつけたピッチングで阪神打線を翻弄。打たせて取る投球で、順調にスコアボードにゼロを並べた。

　ベテラン左腕の好投に、ヤクルト打線が４回に応える。３者連続四死球で２死満塁とすると、７番ホセ・オスナが阪神先発の西勇輝が投じた４球目145キロの速球をレフトへ２点適時打を放つ。ヤクルトが先制点を挙げ、レジェンド左腕を援護した。

　７回２死一、三塁のチャンスには野手最年長の青木宣親が執念の激走。内野安打を掴み取り、ヤクルトが欲しかった追加点を叩き出す。８回にも２点を加点し、チーム一丸で石川の今季初勝利を後押し。最後は星知弥が三者凡退に抑え、石川にプロ通算184勝目をもたらした。
  　勝利インタビューで石川は22年連続勝利について「ひとりでできる記録じゃない」と力を込め、「必死でしっかりとした準備をするのを心掛けています。家族には感謝したいですし、携わってくれた人、ファンの皆さんに感謝したい」と周囲の協力に頭を下げた。

　７回に貴重な追加点を挙げた41歳・青木の激走には「なんとかしたい気持ちが伝わった。それにつられて中村（悠平）のナイスリードに引っ張られていいピッチングができた」と話し、笑みを浮かべた。

　球界最年長勝利はSNS上でも話題となり、「22年連続勝利は凄い！！」「待ってました！」「ナイスピー」「200勝への道へ！さあ行こうか！」「秋田の誇り」「あと16勝で200勝だぞ！」「背番号19を永久欠番にしよー」など、今季初勝利を飾った左腕を祝福するコメントが寄せられた。

　小柄な大投手は「ひとつ勝つ難しさはすごく分かっている」と断言する。だからこそ、「チームの勝利に貢献したい思いが強い。グラウンドに出ると年齢は関係ないので、なんとか結果で引っ張っていけるように頑張りたい」と力強く語った。

「今日の勝利におごることなく、次の勝利に向かってしっかり準備したい」と語った43歳は、次戦に向けて気を引き締めた表情で甲子園をあとにした。

構成●THE DIGEST編集部

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