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プロ野球

「球界最強のホームランバッター」から、「史上初の40代三冠王」へ。円熟した中村剛也に追ってほしい夢<SLUGGER>

氏原英明

2023.05.21

かつてのホームランアーチストとしての姿を捨てることなく、円熟した打者としてのスタイルも身に着けた中村。まさに“強打者”となったといっていいだろう。写真:THE DIGEST写真部

かつてのホームランアーチストとしての姿を捨てることなく、円熟した打者としてのスタイルも身に着けた中村。まさに“強打者”となったといっていいだろう。写真:THE DIGEST写真部

 3度目の月間MVP受賞は、過去のものとはまるで違っていた。
 
「あるかなと思っていましたけど、取れてよかったです」
 
 あまり多くのことを口にしないのは相変わらずだったが、今年8月で40歳になる中村剛也の打棒に陰りは見えない。

 3・4月は3試合連続本塁打に1試合4安打など、次々と記録的な打棒を発揮し、「何度目の復活?」と獅子党たちがざわつくのも無理はない。

 中村の月間MVP受賞はこれで3度目だ。ただ、過去の受賞時の成績と今回を比較すると、ちょっとした変化が見られる。過去2度は、いずれも本塁打で圧倒的な存在感を示しての受賞だったが、今回は打率も光っているのだ。

「まぁ、昔はヒットを打ちにいこうと考えていなかったですからね。今は、ヒットを打ちにいっていますね。ホームランはどちらかというと、勝手になっている時の方が多いですかね」

 淡々とした言葉に妙に納得させられたのが、これまで中村が安打にそれほど力を入れてこなかったというニュアンスを語ったことだ。
 
 過去6度にわたってホームランキングを獲得してきた中村は、天性のアーチストとして形容される。

 2008から15年の8年間で、規定打席に到達したシーズンはすべてホームラン王のタイトルを獲得。

 なかなか、ここまでのホームランバッターはいないだろう。

 この本塁打量産には、プロ入り後から中村が目指してきたスタイルがあったからに他ならない。

 大阪桐蔭高時代は、通算83本塁打をマーク。高校時代からスラッガーとして生きてきたが、当時とプロとではホームランへの考え方がまるで違うと中村は語っている。

「高校時代はホームランを狙っていなかった。言い方は悪いですけど、狙わんでも打てたんです。プロはそういうわけにはいかない。ヒットを打つだけならできるかも知れませんけど、プロでホームランを打つにはそれだけのスウィングをしなければいけませんからね」

 それだけホームランを打つことにこだわりを見せてきたのが、これまでだった。プロで本塁打王を取ることは険しい道のりだからこそ、何かを犠牲にしなければいけなかった。安打や打率に目をつむってでもホームランを打つ。それが中村だった。

 今年4月29日には、史上初の通算2000三振に到達。「よく振ってきた証拠」と多くの識者が語るが、中村からしてみれば、ホームランを打つためには必要な経費だった。

 しかし、それも40歳になる今季は少しの変化を見せているのだ。
 
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