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MLB

契約金は相場以下だったネトがドラフトから1年未満で正遊撃手へ。型破りの才能を見抜いたエンジェルス首脳の慧眼<SLUGGER>

ジェフ・フレッチャー

2023.05.25

ネトはマイナーをわずか44試合で“卒業”し、メジャーのレギュラーを勝ち取った。(C)Getty Images

ネトはマイナーをわずか44試合で“卒業”し、メジャーのレギュラーを勝ち取った。(C)Getty Images

 MLBでは、ドラフトでの成功を判断するためには忍耐強さが求められる。トップクラスの選手であってもメジャー昇格には2年、大半の選手は3~5年を要するからだ。

 だが、エンジェルスの遊撃手ザック・ネトは違う。彼は昨年6月のドラフトで指名されてからわずか9ヵ月後にビッグリーグへ昇格した。2022年のドラフト指名選手では最速の昇格だった。

 エンジェルスは昨年のドラフト全体13位でネトを指名した。契約金350万ドルは、全体13位の推奨額(440万ドル)を下回っていた。おそらくこれは、ネトが他の1巡目上位指名選手ほど知られた存在ではなかったからだ。

 ネトはキャンベル大という、ノースカロライナ州の小規模な学校の出身だった。そして、あまりにも型破りな打撃スタイルが少なくない数のコーチやスカウトを遠ざけた。

 メジャー最初の36試合で、ネトは打率.248、2本塁打、OPS.682という成績を残している。決して好成績ではないが、大学を出てからまだ1年も経っていないことを思えば十分に許容できる範囲だ。

 マイナー(大半は2A)では通算44試合で打率.322、8本塁打、OPS.937をマークし、素晴らしいディフェンスも披露していた。今春のメジャーキャンプでもアピールし、ドジャー・スタジアムでのオープン戦最後の2試合でも活躍した。
 
 ネトの打者としての能力と遊撃でずば抜けたディフェンスを目の当たりにして、エンジェルスはメジャー昇格の準備が整っていること、そしてデビッド・フレッチャーよりも遊撃のレギュラーに適任であると判断したのだ。

 4月15日、エンジェルスは少なくとも25年まで2000万ドル以上の契約が残っていたフレッチャーにマイナー降格を告げ、ネトを2Aから昇格させた。

「そうせざるを得なかったということだね」。ネトが昇格した日、フィル・ネビン監督は語った。「この春、私たちは彼の素晴らしい才能をたくさん目にした。ドジャー・スタジアムでのフリーウェイ・シリーズでの活躍には驚かされた。2Aでも絶好調だし、今がいいタイミングだと判断した」

 それから1ヵ月以上が経ち、ネトは今後も長くエンジェルスのショートストップを務めることは確実になったように思える。昨年のドラフトで、スカウト部長のティム・マックルベインが下した判断が正しかったことを証明した形だ。
 
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