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開幕から快進撃を続ける貧乏球団レイズ。投手陣のスローガン「64.2」に込められた密かな野望とは<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.05.26

エフリンはFAでは球団史上最高額の3年4000万ドルでレイズに加入した。(C)Getty Images

 開幕13連勝のロケットスタートを切り、52試合を消化した時点でも37勝15敗、勝率.712と圧倒的な強さを誇るレイズ。開幕ロースター26人の総年俸(約7310万ドル)はMLB28位の貧乏球団の快進撃は大きな話題を集めている。

 そんな中、レイズ投手陣の間ではある数字をあしらったTシャツが流行している。今季から加入した先発右腕のザック・エフリンが作ったもので、胸には投手のシルエットとともに「64.2」と大きく書かれている。

 MLB.comの記事によると、この「64.2」は2018年にドジャース投手が樹立した初球ストライクのMLB記録を指す。そして、カイル・スナイダー投手コーチはこの記録を更新することを今季の目標として掲げているというのだ。スナイダー投手コーチはマントラのように初球ストライクの重要性を説いているらしく、自ら「同じことをおそらく96通りくらいの表現で言っているはずだ」と話している。

 リリーフ左腕のジャレン・ビークスいわく「カウントを有利にすることを常に意識している。自分の最高のボールをゾーンに投げ込んで打者に挑むんだ。0-1にすることが本当に重要なことは、データを見れば分かる。投手陣全体の目標でもあるんだ」
 昨季の数字を見ると、初球ストライクを取られた打者の平均成績は打率.213/出塁率.258/長打率.334だが、初球ボールから始まった場合は.255/.371/.428となる。つまり、早めに追い込んで打者に対して優位に立つことが、投手にとっては決定的に重要である、ということだ。

 ちなみに、現時点での初球ストライク率トップはマリナーズの65.5%。レンジャーズの64.3%、ジャイアンツの63.7%が続き、レイズは16位の60.8%。18年の59.3%から年々上昇させ、昨季は64.1%と記録更新が見えてきたにもかかわらず、今季はここまで思うような数字になっていない。

 エフリンがわざわざTシャツを作ったのは、投手陣全体で改めて目標に向かって邁進しようという気持ちの表れだったのだ。

 23日のブルージェイズ戦で終盤に投入した野手が打ち込まれ、1対20と大敗。それでも、チーム防御率3.70は現時点でMLB5位と高水準を保っているレイズ投手陣。今後、初球ストライク率が上がってくれば、さらに強力になるだろう。

構成●SLUGGER編集部
 
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