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プロ野球

山﨑福也が交流戦に弾みをつける2勝目!奥行きのあるピッチングで真のローテーション入りへ<SLUGGER>

氏原英明

2023.05.30

1年通してローテーションを守ったことがないとはいえ、過去2年は110イニング以上を投げた山﨑。今季こそ飛躍の機会をつかみたい。写真:THE DIGEST写真部

1年通してローテーションを守ったことがないとはいえ、過去2年は110イニング以上を投げた山﨑。今季こそ飛躍の機会をつかみたい。写真:THE DIGEST写真部

 8回7安打無失点の快投にも一喜一憂している様子はなかった。

 オリックスの左腕・山崎福也は5月27日の西武戦で先発すると、8回まで7安打を打たれながらも無四球。6年ぶりの完封勝利も予感させたが、9回のマウンドには登らなかった。

「4対0になったら行く可能性もあったんで準備はしていましたけど、最後は監督の判断なので、そこは(判断に)従います」

 今季はこの日まで5試合に先発。4月20日の楽天戦で今季初白星を挙げたものの、その後は結果が出ない日々が続いていた。好投しながらイニング途中での交代が4度もあり、指揮官の信頼をつかんでいるようにも見えなかった。

 しかし、この日のピッチングは、これまでとは比べものにならなかった。本人は「若月のリードが良かった」と多くを語らなかったが、冴えていたのはインコースへのボールの使い方。チェンジアップを餌にした投球は見事だった。

 左投手は多くの場合、右打者のインコースにはストレートとスライダーを投げ分け、ボールを出し入れする。そこにカーブを織り交ぜつつ、外に逃げていくチェンジアップを投げ込むことが多い。
 
 だが、この日の山﨑は右打者のインコースにも積極的にチェンジアップを使っていた。打者にしてみれば、通常なら自分に向かってくる球はストレートかスライダーかの見極めをしていくものだけに、ブレーキのかかるボールに対応できていなかった。

 いわば、奥行きを使ったピッチングだ。山﨑のスライダーの曲がり幅は大きくなく、山ができるタイプでもないから、打者からしてみれば、ストレートやチェンジアップとの判別がつきにくい。だからこそ、打者を打ち取れたと言えるだろう。

「もともと、変化球を投げていくタイプなんで、打者は待っているケースも多い。今日はインコースをうまく使えたなというのはあります」

 2回と5回には佐藤龍世、柘植世那をそれぞれストレートで併殺打に打ち取った。緩い球を想定していた打者に対して、ストレートで差し込んだのだ。ピンチを未然に防ぐ見事なピッチングだった。

 一方、左打者にはストレートとスライダー。こちらもインコースを使いながら、巧みに散りばめていた。

 中嶋聡監督も、今回の山﨑のピッチングを評価している。

「1球1球丁寧に投げながら、それでいてテンポよく投げていた。四球がなかったのも良かったんじゃないかなと思います」
 
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