MLB

「マエケンの悪夢」を避けるためにも山口俊は先発とリリーフ両方の出来高設定を

宇根夏樹

2019.12.10

山口はベイスターズ時代に30セーブ以上を2度記録するなどリリーフの経験も豊富。使い勝手の良さがMLBでも評価されるだろうか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 今シーズン、山口俊(巨人)はセ・リーグ1位の15勝(4敗)と188奪三振に加え、5位タイの170.0イニングと3位タイの防御率2.91を記録した。

 それでも、ポスティングによるメジャー移籍が実現した場合、来シーズンも先発マウンドに立つかどうかはわからない。契約する球団の事情に左右されるだけでなく、契約の時点では先発ローテーションの一人に数えられていても、オープン戦の結果次第ではブルペンに回されることもあり得る。山口はリリーフとしての実績も持つ。2010~11年は2年続けて30セーブ以上を挙げた。

 また、32歳と決して若くはないことからすると、大型契約はあまり望めそうにない。その分を補うために、契約には出来高が付く可能性もある。その場合、山口としては、先発とリリーフのどちらでも出来高が得られるようにするのが賢明だろう。反面教師とすべきは、ドジャースの前田健太だ。
 
 前田が15年オフに結んだ8年2500万ドルの契約に付く出来高は、先発投手として投げることが想定されている。前田の出来高は、先発登板数とイニングに応じて支払われる。シーズンを通してリリーフに専念すると、当然ながら、先発登板数による出来高はまったく得られない。

 また、10イニングごとに設定されている出来高が最初に発生するのは、90イニングに達した時点だ。今シーズン、リリーフだけで90イニング以上の投手は、2人しかいなかった。リリーフでフル回転しても、前田の出来高はゼロになる可能性が高いということだ。