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フィリーズのエース右腕が8回途中までノーヒッター継続!“ピッチクロック時代”初の快挙を惜しくも逃す<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.09

実力の割に注目度が低く、過小評価されているとの声がかねてより高かったウィーラー。今日のピッチングはまさに真価を発揮したと言えるだろう。(C)Getty Images

 新ルールの向かい風を乗り越えることはできなかったが、それでも快投にファンは惜しみない拍手を贈った。

 現地6月8日、フィリーズの先発投手ザック・ウィーラーが、本拠地で行われたタイガース戦で8回1死までノーヒッターを継続する快投を披露した。

 2021年には奪三振王も獲得した右腕が、初回からうなりを上げた。先頭のザック・マッキンストリーをセンターフライに打ち取った後は、剛速球を積極的に高めに投げ込んで、イニングをまたいで4者連続三振。直後に四球を与えてパーフェクトは早々に消え失せたものの、その後はボール3のカウントすらなく、卓越した制球力を見せつけた。

 3回からはシンカーとスイーパー中心の投球にシフトして、凡打の山を築くなど、"剛"だけでなく"柔"の投球も駆使して順調に快挙へ向かっていたウィーラー。8回も先頭のアキル・バドゥーにスライダーをうまく打たせて凡打に打ち取ったものの、直後に三塁手のエラーでこの日3度目の出塁を許したことで歯車が狂った。
 
 次打者のタイラー・ネビンに対しては、スイーパーとシンカーを立て続けに低めに投じて追い込んだものの、4球目のシンカーが真ん中に入った。やや振り遅れながらもネビンはフルスウィングして捉え、打球は無情にもライト前に落ちた。

 すでに110球以上を費やしていたウィーラーは、この時点で降板。快挙達成はならなかったが、投手の間合いを制限するピッチクロックや、ヒットゾーンが広がるシフト禁止が今季から導入された中での快投に、ファンは惜しみないスタンディングオベーションを贈った。実況していたフィリーズの専属アナウンサー、トム・マッカーシーもこの光景を見て、「だから野球が好きなんだ。ウィーラーはやれることをすべて出し切った」と感慨深げにつぶやいた。

構成●SLUGGER編集部
 
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