プロ野球

サヨナラ弾から好調を継続し、『アラレちゃん』の打席登場曲も好評!オリックス紅林弘太郎に期待される本格ブレイク【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.06.22

以前から将来の高さは評価されてきた紅林。いよいよ本格ブレイクなるか注目される。写真:ネギドラム

 オリックスの紅林弘太郎が5月の月間「スカパー!サヨナラ賞」を受賞した。5月24日の東北楽天戦(ほっと神戸)、1点ビハインドの9回一死一塁で松井裕樹からレフトスタンド上段にサヨナラ2ランを放ったことが評価されたもの。6月の紅林は好調で、打率.362、5月下旬から始まった交流戦でも打率.377、出塁率.431とセ・リーグのバッテリーを苦しめた。6月17日の東京ヤクルト戦では、ベテランの石川雅規から神宮球場のレフトスタンド上段に4号ソロを叩きこんでいる。

 開幕は二軍スタートだった紅林だが、4月に一軍に昇格するまでに体重を絞り、ウエイト・トレーニングを強化したという。松井からの一発は「今年一番。あの感触は忘れないですね」とかなり手応えを感じたようだが、もちろん理想はもっと高いところにある。「率も欲しいんですけど、勝負強い打撃は持ち味というか、ここ一番での集中力を大事にしているので、そういうバッティングができるようにしたい」と語り、得点圏打率.244という現状を改善したいという思いが強い。

「いろいろ取り組んでいることがあって、キャンプからずっとやって来ていることが結果に繋がってきている」と語る紅林。下半身の使い方やバッティングフォームの力感を模索した結果、サヨナラ本塁打をきかっけに好調を継続している。本人は「一線級のピッチャーから打てたことで、自信を持って打席に立てることが多くなった」と好調の理由を分析する。
 
 某先輩選手の仕掛けにより、登場曲が『Dr.スランプ アラレちゃん』に変更され、これがファンの間でも好評だ。紅林はアラレちゃんを知らない世代だが「僕はあんまり知らないですけど、球場が凄い盛り上がってるので、このまま使いたい」と笑顔。中嶋聡監督からはキック、ヘッドロックと愛ある技の洗礼を浴びており、「次はラリアットですかね」。普段は「あまり話してくれない」「僕には厳しいんです」という中嶋監督のツンデレ愛をしっかり受け止めている。先輩や首脳陣から可愛がられぶりは、ちょっとやそっとのことでは動じない紅林の役得なのかもしれない。

「今度は京セラで打ちたいですね」と今度はもう一つの本拠地の5階席に叩き込みたいという目標を胸に抱きながら、公式戦再開を迎える紅林。「交流戦は勝ち越せましたし、最後の方はいい勝ち方、いい試合ができていたので、この勢いをつなげていきたいのと、個人としては調子の波を少なくして打ってチームに貢献できるよう頑張ります」と抱負を語った。

 調子の波が安定すれば、ゴールデン・グラブ賞も狙える好守を誇るだけに、打線の中軸やポイントゲッターとしての役割も担えるはずだ。成長を続ける若き大型内野手への期待は大きい。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させたことも。
 
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