専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

惜しくも優勝は逃したものの、頓宮の覚醒やニューカマー登場など多くの収穫。オリックスの交流戦を振り返る【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.06.21

持ち前の強打が全面的に開花した頓宮。交流戦は打率.359、6本塁打と大暴れした。写真:産経新聞社

持ち前の強打が全面的に開花した頓宮。交流戦は打率.359、6本塁打と大暴れした。写真:産経新聞社

 2021年以来の交流戦優勝を狙っていたオリックス。だが、11勝7敗と勝敗数ではトップに並んだものの、得失点率の差で優勝を逃した。それでも、交流戦だけで貯金4を作れたのは大きい。パ・リーグのペナントレースでは首位に返り咲いている。

 投手陣では、発熱により特例抹消されていたエースの山本由伸が復帰すると3戦3勝の大活躍。宮城大弥と山下舜平大も2勝を稼ぎ、現在3投手がパ・ハーラートップの6勝で並んでいる。また、交流戦限定二刀流の山崎福也が投打で活躍し、早くも昨年と並ぶ5勝目をマーク。初の2ケタ勝利も見えてきた。

 山岡泰輔も、勝ちこそつかないが好投を継続中。開幕からローテーションを守ってきた田嶋大樹は左前腕の張りで登録抹消されたが、ドラフト1位左腕の曽谷龍平が6月7日の巨人戦でプロ初先発。結果は残せなかったものの、強い球を投げており、今後につながる登板だった。また、守護神の平野佳寿が復活。山崎颯一郎とのダブルクローザーが整備されたことで、課題だった中継ぎ陣も強化されてきた。

 打線では、頓宮裕真が打率.359、6本塁打と大活躍。交流戦終盤は森友哉を3番に置き、頓宮が4番を任される試合も多く、好調な頓宮との勝負を避けるために森と勝負せざるを得ない状況を作り上げた。頓宮の後には、杉本裕太郎や交流戦打率4位の.377をマークした紅林弘太郎が控えており、ここにどんな打席でも行ける中川圭太やゴンザレスがいるのだから、対戦チームはたまらない。
 昨季は昨季と同様につなぐ意識を持ちつつ、ここ一番でホームランが出て相手の心をへし折る場面が多い印象があるが、交流戦ではその印象がさらに強くなった。

 交流戦明けに始まるソフトバンクとの3連戦、ロッテとの2連戦という三つ巴の首位攻防戦を制するには、時折り沈黙しがちな打線が交流戦の勢いそのままに打ちまくることが絶対条件となる。

 ニューカマーで注目は宮城、紅林と同級生で甲子園のスターだった前佑囲斗だ。交流戦でプロ初の一軍昇格を果たすと、中継ぎで2試合に登板し、最速151キロのストレートと変化球を武器に向かっていく投球を見せて無失点で抑えている。

 同じく交流戦中に再昇格した宇田川優希の調子がなかなか戻らないだけに、今後は前が僅差の場面で登板する機会も増えそうだ。プロ初登板となった11日のDeNA戦の試合後、中嶋聡監督も「あのメンバーのところを投げて抑えたということを自信にしてほしいですね。向かっていく姿を見せてくれて嬉しいですし、その気持ちは常に持っておかなければいけないことなので」と評価している。山本由伸のかつての背番号43を受け継いだ逸材が、一軍のマウンドでどこまで力を発揮できるか期待したい。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号