2023年のオールスターファン投票で最多得票を集めたのは、大谷翔平(エンジェルス)ではなくロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)だった。投票のフェーズ1が終わった時点で308万2600票を集め、264万6307票の大谷を約34万票上回った。日本人からすれば腑に落ちない向きもあるかもしれないが、アクーニャJr.の実績と実力からすれば、それほど驚くべきことでもない。
球界屈指のトップ・プロスペクトとして2018年に20歳でデビューすると、いきなり26本塁打&16盗塁を記録して新人王を獲得。日米野球で来日中に受賞の知らせを受け取った。翌19年も2年目のジンクスを吹き飛ばし、41本塁打&リーグ最多の37盗塁。史上5人目の40‐40まであと一歩に迫った。
21年も前半戦絶好調でMVP最有力候補に挙げられていたが、右ヒザ靭帯断裂の重傷を負って残りシーズンを欠場。ワールドシリーズ出場を果たせなかった。復帰1年目の昨季はやや精彩を欠いたが、今季は過去1年半の鬱憤を晴らすかのように開幕から暴れまわっている。
81試合を消化した時点で20本塁打&37盗塁。オールスター前に20本塁打&40盗塁&50打点をクリアしたのはMLB史上初の快挙で、このままいけば40‐40はおろか、前人未到の40‐70も可能なペースだ。
アクーニャJr.は、大谷翔平とはまた一味違った“野球小僧”だ。時折茶目っ気を見せながらも基本的にはストイックな大谷に対し、アクーニャJr.はまさに天真爛漫。まだあどけなさの残る表情でフィールドを縦横無尽に駆け回る。感情表現も豊かで、打てば喜びを全面に表し、凡退すれば悔しがる。そこらの公園で伸び伸びプレーしている子供と何ら変わらない。
エルボーパッド、バッティンググラブ、スパイクはすべてイエローに揃えるド派手ないでたちは、それだけでも観客の視線を集めるに十分だが、いざ試合が始まれば今度はプレーでファンの視線を釘付けにする。
全力疾走を怠ってベンチに下げられたり、ホームランを打った後の挑発行為で相手投手の怒りを買うなど、精神的な未熟さを指摘されることもあるが、それもまた天真爛漫さの一つの表れと言えなくもない。自由奔放にプレーするアクーニャJr.の姿を見て、素直に「野球選手ってカッコいいな」「野球やってみたいな」と思うちびっ子は少なくないはずだ。
考えてみると、アクーニャJr.と大谷には不思議な縁がある。18年はアクーニャJr.がナ・リーグ、大谷がア・リーグで新人王に輝き、今年のオールスターでも揃って各リーグで最多得票を獲得。さらに、2人とも6月の月間最優秀選手に選ばれた。そして、このままいけば、シーズン後には2人がMVPに選ばれる可能性が非常に高い。
年齢は大谷の方が3つ上で「同世代」とは言えないが、ここまでくれば正真正銘のライバルと言ってもいいだろう。夢の球宴では、“投手・大谷”との対決が実現してほしいものだが、果たしてどうなるだろうか。
構成●SLUGGER編集部
球界屈指のトップ・プロスペクトとして2018年に20歳でデビューすると、いきなり26本塁打&16盗塁を記録して新人王を獲得。日米野球で来日中に受賞の知らせを受け取った。翌19年も2年目のジンクスを吹き飛ばし、41本塁打&リーグ最多の37盗塁。史上5人目の40‐40まであと一歩に迫った。
21年も前半戦絶好調でMVP最有力候補に挙げられていたが、右ヒザ靭帯断裂の重傷を負って残りシーズンを欠場。ワールドシリーズ出場を果たせなかった。復帰1年目の昨季はやや精彩を欠いたが、今季は過去1年半の鬱憤を晴らすかのように開幕から暴れまわっている。
81試合を消化した時点で20本塁打&37盗塁。オールスター前に20本塁打&40盗塁&50打点をクリアしたのはMLB史上初の快挙で、このままいけば40‐40はおろか、前人未到の40‐70も可能なペースだ。
アクーニャJr.は、大谷翔平とはまた一味違った“野球小僧”だ。時折茶目っ気を見せながらも基本的にはストイックな大谷に対し、アクーニャJr.はまさに天真爛漫。まだあどけなさの残る表情でフィールドを縦横無尽に駆け回る。感情表現も豊かで、打てば喜びを全面に表し、凡退すれば悔しがる。そこらの公園で伸び伸びプレーしている子供と何ら変わらない。
エルボーパッド、バッティンググラブ、スパイクはすべてイエローに揃えるド派手ないでたちは、それだけでも観客の視線を集めるに十分だが、いざ試合が始まれば今度はプレーでファンの視線を釘付けにする。
全力疾走を怠ってベンチに下げられたり、ホームランを打った後の挑発行為で相手投手の怒りを買うなど、精神的な未熟さを指摘されることもあるが、それもまた天真爛漫さの一つの表れと言えなくもない。自由奔放にプレーするアクーニャJr.の姿を見て、素直に「野球選手ってカッコいいな」「野球やってみたいな」と思うちびっ子は少なくないはずだ。
考えてみると、アクーニャJr.と大谷には不思議な縁がある。18年はアクーニャJr.がナ・リーグ、大谷がア・リーグで新人王に輝き、今年のオールスターでも揃って各リーグで最多得票を獲得。さらに、2人とも6月の月間最優秀選手に選ばれた。そして、このままいけば、シーズン後には2人がMVPに選ばれる可能性が非常に高い。
年齢は大谷の方が3つ上で「同世代」とは言えないが、ここまでくれば正真正銘のライバルと言ってもいいだろう。夢の球宴では、“投手・大谷”との対決が実現してほしいものだが、果たしてどうなるだろうか。
構成●SLUGGER編集部
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