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MLB

【DELTA】カウント球としても決め球としても有効な万能球スイーパー。大谷は球界屈指の横変化を誇る一方で"弱点"も<SLUGGER>

DELTA

2023.07.14

WBCで一躍有名になった大谷のスイーパー。横変化幅はMLBでもトップクラスだが、意外な弱点も。(C)Getty Images

WBCで一躍有名になった大谷のスイーパー。横変化幅はMLBでもトップクラスだが、意外な弱点も。(C)Getty Images

 近年、MLBでは「スイーパー」が大流行を見せている。スイーパーとは、大まかに説明するなら大きく横に曲がるスライダーのことだ。大谷翔平がWBC決勝でマイク・トラウトを三振にとったボールがまさにそのスイーパーだった。なぜ、スイーパーはここまで流行しているのか。そして、大谷のスイーパーはどこが優れているのか。データから迫ってみよう。

 まず、前述したようにスイーパーとはスライダーの一種である。スライダー系の球種にもスラーブやカットボールなどさまざまな種類があり、そのうちの一つと思ってもらえればいい。冒頭で紹介した通り、スイーパー最大の特徴は横方向への変化が大きいことだ。それに加えて、下方向に落ちる変化が小さい。あまり落差がなく、真横に大きく滑っていくスライダーがスイーパーだ。

 今季からDeNAでプレーするトレバー・バウアーは、流行以前からスイーパーにいち早く目をつけ投げ始めた投手の一人だ。現在、バウアーが右打者に投じるスライダーの多くは、MLBではスイーパーとして分類される。バウアーが対右打者で抜群の強さを発揮している要因がこのスイーパーにある。

 当初は限られた投手しか投げられなかったスイーパーだが、近年はノウハウが集まったこともあり、数多くの投手が多用するようになった。ドジャースやヤンキースなどは球団レベルでスイーパーの習得を奨励し、他球団もそれに追随する状況が生まれている。
 では、なぜスイーパーはこれほどの流行しているのだろうか。理由の一つに用途の広さがある。4シーム、スプリットと比較すると分かりやすい。一般的に4シームはカウント球になりやすい一方、空振り奪取能力には欠ける球種だ。一方、フォークは空振りを奪う能力に長けているが、カウント球として使うのは難しい。

 これらはそれぞれデータとしてもはっきり出ている。見送りストライク率は4シームが17.8%と高いのに対し、スプリットは7.8%と低い。カウント球としてはやはり4シームが有用だ。一方空振り率は4シームが10.6%と低いのに対し、スプリットが18.0%と高い。決め球として使うならやはりスプリットだ。通常、カウント球と決め球はこのように対の関係になっている。

球種別の見送りストライク率&空振り率
球種        見送りストライク率    空振り率
4シーム    17.8%            10.6%
スプリット    7.8%            18.0%
スイーパー    15.7%            14.8%
※米データサイトBaseball Savantを参照

 スイーパーは、4シームとスプリットの長所を「いいとこどり」した球種なのだ。スイーパーの見送りストライク率は15.7%、空振り率は14.8%。4シームの見送りストライク率とスプリットの空振り率に迫る数字を記録している。カウント球と決め球の長所を兼ね備えているだけでなく、スイーパーにはポップフライを誘発しやすいという長所もある。
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