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MLB

【侍メジャーリーガー前半戦通信簿:投手】“投手・大谷”は「まずまずです」評価。千賀とダルビッシュは明暗分ける<SLUGGER>

藤原彬

2023.07.11

左から菊池、大谷、千賀、藤浪。彼ら日本人投手たちの前半戦を振り返ってみよう。(C)Getty Images

左から菊池、大谷、千賀、藤浪。彼ら日本人投手たちの前半戦を振り返ってみよう。(C)Getty Images

■大谷翔平(エンジェルス)
【通信簿:まずまずです】
開幕4連勝と快調に滑り出し、話題を集めたスイーパーを主武器にリーグベストの被打率.189、同2位の奪三振率11.99をマークするなど対打者については圧倒した。ただし、すでに昨季と同じ14被弾を浴び、43四球もほぼ同じで、リーグ最多の12暴投など精彩を欠く。結果として防御率3.32と約1点も上昇し、前半戦終了前には右中指の爪割れやマメの問題が発生して、オールスターは登板を回避した。

 WBC参戦や中5日が基本線の登板による疲労も感じさせ、怒涛の勢いのバットとは対照的に投手としてはややトーンダウンしているが、混戦模様のサイ・ヤング賞争いを勝ち抜き、MVPとのダブル受賞も可能性もまだ残している。後半戦開始から夏場はコンテンダーとの対戦が続くが、コンディションを取り戻して、再び開幕直後のような勢いを取り戻したい。


■千賀滉大(メッツ)
【通信簿:よくできました】
 新人MLB最多にしてチーム2位の7勝をマークして防御率も3.31と及第点の出来で、オールスターにも選ばれた。代名詞の「ゴーストフォーク」は空振り/スウィング率59.6%とMLBでも屈指の決め球に。1試合12奪三振を2回記録し、リーグ4位に位置する奪三振率11.34はNPB時代よりも上昇している。

 一方で、与四球率4.72とコントロールに苦しんでいる。大きく変化する球種を操る投球スタイルに加えて、本人いわく「ボールもマウンドも違うが、何と言ってもストライクゾーンが違う」。前半戦最後の登板では初めて8回を投げ抜いたが、1イニングあたりの投球数は17.1球とかなり多い。それでも、超大型補強を敢行しながら借金生活に苦しむチームで明るい話題を振り撒いたのは確かで、明確な課題を改善できればさらなる向上も望めるだろう。
■菊池雄星(ブルージェイズ)
【通信簿:まずまずです】
 先発ローテーションの当落線上から新シーズンをスタートさせたが、開幕5連勝を飾るなど、前半戦だけで早々と自己最多の7勝を挙げた。近年はほとんど使わなかったカーブが効果的で、いずれも自己ベストの防御率4.24やK/BB3.56につなげている。与四球率は昨季から5.19→2.60と劇的に改善し、ジョン・シュナイダー監督は「(打者を)恐れなくなった。昨季はカウントを悪くすると緊張感が漂ったが、今は安心して見ていられる」と評価した。

 ただし、リーグワーストの22被本塁打と一発病は変わらず。後半戦は通算防御率5.94と鬼門にしているが、克服できれば自身初のポストシーズンの先発マウンドも視野に入ってくるはずだ。

■前田健太(ツインズ)
【通信簿:可もなく不可もなく】
 2021年のトミー・ジョン手術から復活したが、開幕4連敗と先行き不安な再出発を切った。加えて、4月下旬には右上腕三頭筋痛による故障者リスト入りと、泣きっ面に蜂状態にも陥った。それでもリハビリ期間中に投球フォームのずれを修正し、6月23日のタイガース戦では2年ぶりの白星をつかんだ。

 苦しみながら7先発とも2四球以下と最大の持ち味である制球力は健在で、ロッコ・バルデリ監督は「(20年の)サイ・ヤング賞投票2位の選手が戻ってきた」。自責点10を喫した試合が響いて防御率は5点台だが、FIP3.47を記録するなど投球内容はそこまで悪くない。
 

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