7月16日の西武対日本ハム戦。勝負の行方を左右するビッグプレーが終盤に飛び出した。
ストライク先行でテンポ良くスコアボードにゼロを並べていた西武先発・高橋光成。しかし8回表、途中出場の日本ハム・石井一成がセンターへ大飛球を放った。懸命に追いかける中堅手・長谷川信哉はフェンスにぶつかりながら捕球を試みるが捕れず、体に当たったボールがライト方向へ大きく弾んだ。それを見た石井は一気にホームを狙ったが、西武野手陣の見事な中継プレーの前にホームタッチアウト。反撃のチャンスを封じ込めた。
フェンス沿いを転々と転がるボールを処理したのは、右翼手・岸潤一郎。予想もしなかった方向に跳ねたボールを懸命に追いかけると、捕球してから素早くカットマンへと送球した。
「(打者走者は)もうホームまでいくだろうと思ってました。ボールを取って投げる瞬間『ここに(カットマンが)いてくれ!』って思っていたところにトノさん(外崎)がいてくれたので、そこに素早く! という感じで本当に必死でした。投げた後は心の中で『トノさん、あとは任せました!』って叫んでましたね」(岸)
カットマンに入った二塁手・外崎修汰。打球が大きく右翼側へ跳ねたところを見て、既に打者走者がホームまでくることを想定して、プレーに移っていた。
「あれだけ(ボールがライト方向に)弾けていたので、流れ的にも(ホームに)来るだろうなっていう感じはあったので。コロコロとボールが転がっている間、結構時間があるじゃないですか。その時間で(ホーム送球の)準備はしていました。(岸の送球は)ナイスボールでした」(外崎)
岸からの好返球を受けた外崎もすぐさまバックホーム。ホームを守っていた古賀悠斗もボールの行方と走者の動きを確認しながら、打者走者はホームまで来るものだという意識で返球を待っていた。
「石井さんが回ってきたので、自分にタックルされてもいいからタッチするという気持ちでいました。もう気合です」(古賀)
外崎の送球は若干三塁方向へ逸れたもの、古賀はしっかり対応し、石井をホーム手前でタッチアウトにした。ここで1点取られていたら試合の流れは大きく変わっていたかもしれない。誰一人準備を怠らず、高い集中力が生んだビッグプレー。ベンチから見ていた平石洋介ヘッドコーチが、さらに解説を加えてくれた。
「まずはセンターの長谷川が弾いてしまいましたが、あそこはライトの岸がしっかりカバーしにきているから、勝負しにいけているというのがあります。クッションがちょっと意外な方向に跳ねてしまいましたけど、素早く反応してくれました。その後のトノのバックホームは、一塁側に逸れていたらノーチャンス(セーフ)でした。ベースの上だけではなく逸れるならば三塁側へということを、キャンプや練習でしっかりやってきたので、その通りに引っ掛けずに三塁側に投げてくれたのが大きかったと思います」
好投を続けていたエース・高橋光成もグラブを激しく叩いて喜びを表わし、そのハートをさらに燃え上がらせていた。
「野手の方がつないでくれて、ホームでアウトにしてくれて、あのプレーで自分自身熱くなりましたし、絶対9回まで行って投げ切るぞ! という気持ちになりました」(高橋光成)
投手も野手も最後まで集中力を切らさず、完封勝利で5連勝を飾った西武。まもなく終わる前半戦は苦しい戦いが続いていたが、全てがひとつになった8回のビッグプレーは、後半戦の反撃を期待させるような輝きを放っていた。
取材・文●岩国誠
【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとWEBライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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フェンス沿いを転々と転がるボールを処理したのは、右翼手・岸潤一郎。予想もしなかった方向に跳ねたボールを懸命に追いかけると、捕球してから素早くカットマンへと送球した。
「(打者走者は)もうホームまでいくだろうと思ってました。ボールを取って投げる瞬間『ここに(カットマンが)いてくれ!』って思っていたところにトノさん(外崎)がいてくれたので、そこに素早く! という感じで本当に必死でした。投げた後は心の中で『トノさん、あとは任せました!』って叫んでましたね」(岸)
カットマンに入った二塁手・外崎修汰。打球が大きく右翼側へ跳ねたところを見て、既に打者走者がホームまでくることを想定して、プレーに移っていた。
「あれだけ(ボールがライト方向に)弾けていたので、流れ的にも(ホームに)来るだろうなっていう感じはあったので。コロコロとボールが転がっている間、結構時間があるじゃないですか。その時間で(ホーム送球の)準備はしていました。(岸の送球は)ナイスボールでした」(外崎)
岸からの好返球を受けた外崎もすぐさまバックホーム。ホームを守っていた古賀悠斗もボールの行方と走者の動きを確認しながら、打者走者はホームまで来るものだという意識で返球を待っていた。
「石井さんが回ってきたので、自分にタックルされてもいいからタッチするという気持ちでいました。もう気合です」(古賀)
外崎の送球は若干三塁方向へ逸れたもの、古賀はしっかり対応し、石井をホーム手前でタッチアウトにした。ここで1点取られていたら試合の流れは大きく変わっていたかもしれない。誰一人準備を怠らず、高い集中力が生んだビッグプレー。ベンチから見ていた平石洋介ヘッドコーチが、さらに解説を加えてくれた。
「まずはセンターの長谷川が弾いてしまいましたが、あそこはライトの岸がしっかりカバーしにきているから、勝負しにいけているというのがあります。クッションがちょっと意外な方向に跳ねてしまいましたけど、素早く反応してくれました。その後のトノのバックホームは、一塁側に逸れていたらノーチャンス(セーフ)でした。ベースの上だけではなく逸れるならば三塁側へということを、キャンプや練習でしっかりやってきたので、その通りに引っ掛けずに三塁側に投げてくれたのが大きかったと思います」
好投を続けていたエース・高橋光成もグラブを激しく叩いて喜びを表わし、そのハートをさらに燃え上がらせていた。
「野手の方がつないでくれて、ホームでアウトにしてくれて、あのプレーで自分自身熱くなりましたし、絶対9回まで行って投げ切るぞ! という気持ちになりました」(高橋光成)
投手も野手も最後まで集中力を切らさず、完封勝利で5連勝を飾った西武。まもなく終わる前半戦は苦しい戦いが続いていたが、全てがひとつになった8回のビッグプレーは、後半戦の反撃を期待させるような輝きを放っていた。
取材・文●岩国誠
【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとWEBライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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