近年のプロ野球では、投手が投げるボールの回転数や打球速度、打球角度などのデータが活用されるようになってきた。これらのデータを測定できるのが、『トラックマン』や『ホークアイ』、そして『ラプソード』のような最新機器だ。
『トラックマン』や『ホークアイ』は球場設置型の機器だが、『ラプソード』は容易に持ち運びできる、より個人使用に特化したツールだ。測定できるデータはさまざまで、たとえば投手なら回転数の他に、回転方向や球のノビ、各球種の変化量、リリースした時の投球の発射角度などを数値化できる。また、打者なら打球速度や打球角度が測定できるほか、コースごとの打球速度を毎日蓄積することにより、苦手なゾーンも明確に把握できる。
これらのデータはクラウド上に選手ごとに蓄積でき、専用のアプリを使えばiPadで即座に可視化できる。2022年10月からは、バッテリー間に置いて投打両方を同時に測定し、対戦形式でのデータも蓄積できる『PRO 3.0』も登場するなど、その利便性は向上し続けている。
現役時代にヤクルトで通算85勝を挙げ、現在はBCリーグ・福島レッドホープスでコーチとして指導にあたる館山昌平氏が先日、スポーツテックEXPOで特別講演を行った。そこで、ラプソードの3つの活用法を紹介している。①パフォーマンスの向上 ②故障の予防 ③選手を埋もれさせない だ。
測定されたデータを基に自分の個性を把握し、最適な数値を目標としてトレーニングするための機器である『ラプソード』にとって、①の「パフォーマンスの向上」は一見、自明の活用法にも思える。だが、いたずらに数値を高くすればいいというものではない。館山氏いわく、「100人いれば100通りの指導法がある」という。
「たとえばラプソードでは、回転効率(ボールの回転をどのくらいの効率で変化量に反映できているかを測る指標。0~100%で表す)を測ることができます。基本的にはMAX値の100%が重視されますが、サイドスローの僕は100%だと浮力との関係でボールが落ちてしまう。96.5%だとボールの到達点が100%の時よりも上に来るので、現役時代はこの数値を目的として投げていましたね」
新しい球種を覚えて投球の幅を広げたい時にも、『ラプソード』が役立つ。『ラプソード』では、各球種の縦と横の変化量をマッピングデータとして可視化できる。このマッピングデータの「面積が広いほど、打者はコースを広く待たなくてはならない」(館山)ので、投手にとっては有利になる。例えば、しっかり曲がるカットボールとストレートを軸にする投手なら、シュート成分を増やしたスプリッターを新たに加えると横と縦の範囲が広がり、打者にとっては攻略がより難しくなる。このように、しっかりした根拠に基づいて能力を向上させられるのは『ラプソード』の大きなメリットだ。
また、『ラプソード』は故障の予防にも活用できる。普段からリリースポイントや球速についてのデータを蓄積することにより、数値の変化から故障の予兆を察知できるのだ。
たとえば100球の投げ込みを計測する時、回転数が落ちてくるタイミングで疲労やパフォーマンスの低下を判断できる。加えて、週単位、月単位といったスパンでの数値の推移を見ていくと、リリースポイントの高さが変化していたり、抜け球が増えたりすることがある。これらの“異変”から、故障のリスクを未然に回避できるわけだ。実際、順天堂大野球部では、『ラプソード』を使って日常的にデータを計測することにより、投手陣の故障が劇的に少なくなったという。
『トラックマン』や『ホークアイ』は球場設置型の機器だが、『ラプソード』は容易に持ち運びできる、より個人使用に特化したツールだ。測定できるデータはさまざまで、たとえば投手なら回転数の他に、回転方向や球のノビ、各球種の変化量、リリースした時の投球の発射角度などを数値化できる。また、打者なら打球速度や打球角度が測定できるほか、コースごとの打球速度を毎日蓄積することにより、苦手なゾーンも明確に把握できる。
これらのデータはクラウド上に選手ごとに蓄積でき、専用のアプリを使えばiPadで即座に可視化できる。2022年10月からは、バッテリー間に置いて投打両方を同時に測定し、対戦形式でのデータも蓄積できる『PRO 3.0』も登場するなど、その利便性は向上し続けている。
現役時代にヤクルトで通算85勝を挙げ、現在はBCリーグ・福島レッドホープスでコーチとして指導にあたる館山昌平氏が先日、スポーツテックEXPOで特別講演を行った。そこで、ラプソードの3つの活用法を紹介している。①パフォーマンスの向上 ②故障の予防 ③選手を埋もれさせない だ。
測定されたデータを基に自分の個性を把握し、最適な数値を目標としてトレーニングするための機器である『ラプソード』にとって、①の「パフォーマンスの向上」は一見、自明の活用法にも思える。だが、いたずらに数値を高くすればいいというものではない。館山氏いわく、「100人いれば100通りの指導法がある」という。
「たとえばラプソードでは、回転効率(ボールの回転をどのくらいの効率で変化量に反映できているかを測る指標。0~100%で表す)を測ることができます。基本的にはMAX値の100%が重視されますが、サイドスローの僕は100%だと浮力との関係でボールが落ちてしまう。96.5%だとボールの到達点が100%の時よりも上に来るので、現役時代はこの数値を目的として投げていましたね」
新しい球種を覚えて投球の幅を広げたい時にも、『ラプソード』が役立つ。『ラプソード』では、各球種の縦と横の変化量をマッピングデータとして可視化できる。このマッピングデータの「面積が広いほど、打者はコースを広く待たなくてはならない」(館山)ので、投手にとっては有利になる。例えば、しっかり曲がるカットボールとストレートを軸にする投手なら、シュート成分を増やしたスプリッターを新たに加えると横と縦の範囲が広がり、打者にとっては攻略がより難しくなる。このように、しっかりした根拠に基づいて能力を向上させられるのは『ラプソード』の大きなメリットだ。
また、『ラプソード』は故障の予防にも活用できる。普段からリリースポイントや球速についてのデータを蓄積することにより、数値の変化から故障の予兆を察知できるのだ。
たとえば100球の投げ込みを計測する時、回転数が落ちてくるタイミングで疲労やパフォーマンスの低下を判断できる。加えて、週単位、月単位といったスパンでの数値の推移を見ていくと、リリースポイントの高さが変化していたり、抜け球が増えたりすることがある。これらの“異変”から、故障のリスクを未然に回避できるわけだ。実際、順天堂大野球部では、『ラプソード』を使って日常的にデータを計測することにより、投手陣の故障が劇的に少なくなったという。
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