現地8月1日に迫ったMLBのトレード・デッドライン。昨年に続いて大谷翔平(エンジェルス)に放出の噂が飛び交うなど日本でもかなり報道が過熱しているが、NPBとはあまりにも異なる移籍事情に戸惑っている人も多いのではないか。そこで、MLBのトレード・デッドラインに関するに基礎知識をQ&A形式で解説しよう。
●なぜシーズン中にトレードが多く成立するの?
MLBでは、毎年夏になると上位球団と下位球団がそれぞれ別の道を模索しはじめる。前者はワールドチャンピオンあるいはポストシーズン(プレーオフ)進出を目指してさらなる戦力強化を図り、後者はオフにFAとなる主力選手などをトレードで放出し、「プロスペクト」と呼ばれる将来有望な若手選手を手に入れて翌シーズン以降の巻き返しを図る。毎年、7月末~8月頭に設けられるデッドライン前に成立するトレードの多くはこの図式、つまり実績十分の主力選手←→複数のプロスペクトというパターンに当てはまる。
ちなみに、2018年まではデッドラインを過ぎてもウェーバーというシステムを使ったトレードが可能だった。ポストシーズンに出場するためには「9月1日までに当該チームの40人ロースターに登録されていなければならない」という決まりがあるため、8月31日が事実上「最後のトレード期限」となっていた。
デッドラインを過ぎてからのウェーバー経由のトレードは19年から禁止となったが、現在もマイナーリーガーについては8月以降もトレード可能。また、他球団を解雇された選手も自由に獲得できるが、9月以降に加入した選手はポストシーズンには出場できない。 ●どんな選手が主にトレードされるの?
NPBでは主力選手のトレードは滅多に起こらないが、大谷ですら噂に上がったことからも分かる通り、MLBではMVP級のスーパースターの途中移籍も珍しくない。21年には俊足巧打のトレイ・ターナー(この年は首位打者にも輝く)とサイ・ヤング賞3度の大投手マックス・シャーザーが、プロスペクト4人と引き換えにナショナルズからドジャースに移籍。昨年は若き天才スラッガーのホアン・ソトが同じくナショナルズからパドレスにトレードされて大きな話題となった。
これは日本で言えば近本光司(阪神)、菅野智之(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)のような選手がシーズン途中に移籍するようなもので、MLBのデッドライン・トレードのスケールの大きさには改めて驚かされる。
先述したように、デッドライン・トレードで動くことが多いのはシーズン終了後にFAとなる主力選手だ。FAとなって他球団に流出した場合、見返りは良くてもドラフト補償指名権のみ。それならば、将来のチーム強化のために少しでも多くの、あるいは優れたプロスペクトを獲得しておきたいと、「売り手」の球団は考えるのだ。
●なぜ大谷にトレードの噂が出ていたの?
大きく分けて2つある。まず1つは上でも説明したように、今季終了後に大谷がFAになるから。もう1つは、エンジェルスがポストシーズン争いから脱落しそうだったからだ。
大谷とエンジェルスの契約延長は進んでいないと言われていて、このままシーズンを終えてFAになった場合は他球団へ移籍する可能性が高い。加えて、エンジェルスがもしポストシーズン争いから完全に脱落した場合、8月以降は完全な「消化試合」となってしまう。無意味な戦いを続けて大谷をむざむざ流出させるより、トップ・プロスペクトを複数獲得した方がチームの将来にとってはメリットが大きい。絶大な人気を誇るスーパースターでも、冷徹な「ビジネスの論理」が働くのがMLBの球団経営なのだ。
●なぜシーズン中にトレードが多く成立するの?
MLBでは、毎年夏になると上位球団と下位球団がそれぞれ別の道を模索しはじめる。前者はワールドチャンピオンあるいはポストシーズン(プレーオフ)進出を目指してさらなる戦力強化を図り、後者はオフにFAとなる主力選手などをトレードで放出し、「プロスペクト」と呼ばれる将来有望な若手選手を手に入れて翌シーズン以降の巻き返しを図る。毎年、7月末~8月頭に設けられるデッドライン前に成立するトレードの多くはこの図式、つまり実績十分の主力選手←→複数のプロスペクトというパターンに当てはまる。
ちなみに、2018年まではデッドラインを過ぎてもウェーバーというシステムを使ったトレードが可能だった。ポストシーズンに出場するためには「9月1日までに当該チームの40人ロースターに登録されていなければならない」という決まりがあるため、8月31日が事実上「最後のトレード期限」となっていた。
デッドラインを過ぎてからのウェーバー経由のトレードは19年から禁止となったが、現在もマイナーリーガーについては8月以降もトレード可能。また、他球団を解雇された選手も自由に獲得できるが、9月以降に加入した選手はポストシーズンには出場できない。 ●どんな選手が主にトレードされるの?
NPBでは主力選手のトレードは滅多に起こらないが、大谷ですら噂に上がったことからも分かる通り、MLBではMVP級のスーパースターの途中移籍も珍しくない。21年には俊足巧打のトレイ・ターナー(この年は首位打者にも輝く)とサイ・ヤング賞3度の大投手マックス・シャーザーが、プロスペクト4人と引き換えにナショナルズからドジャースに移籍。昨年は若き天才スラッガーのホアン・ソトが同じくナショナルズからパドレスにトレードされて大きな話題となった。
これは日本で言えば近本光司(阪神)、菅野智之(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)のような選手がシーズン途中に移籍するようなもので、MLBのデッドライン・トレードのスケールの大きさには改めて驚かされる。
先述したように、デッドライン・トレードで動くことが多いのはシーズン終了後にFAとなる主力選手だ。FAとなって他球団に流出した場合、見返りは良くてもドラフト補償指名権のみ。それならば、将来のチーム強化のために少しでも多くの、あるいは優れたプロスペクトを獲得しておきたいと、「売り手」の球団は考えるのだ。
●なぜ大谷にトレードの噂が出ていたの?
大きく分けて2つある。まず1つは上でも説明したように、今季終了後に大谷がFAになるから。もう1つは、エンジェルスがポストシーズン争いから脱落しそうだったからだ。
大谷とエンジェルスの契約延長は進んでいないと言われていて、このままシーズンを終えてFAになった場合は他球団へ移籍する可能性が高い。加えて、エンジェルスがもしポストシーズン争いから完全に脱落した場合、8月以降は完全な「消化試合」となってしまう。無意味な戦いを続けて大谷をむざむざ流出させるより、トップ・プロスペクトを複数獲得した方がチームの将来にとってはメリットが大きい。絶大な人気を誇るスーパースターでも、冷徹な「ビジネスの論理」が働くのがMLBの球団経営なのだ。
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