夏の高校野球の予選が全国各地で開催されており、各地区の代表が続々と決定している。横浜と慶応義塾が激突した7月26日の神奈川県大会決勝では、一つの判定を巡り、大きな論争を繰り広げている。
慶應が2点を追う9回無死一塁の場面だ。横浜のセカンドが正面のゴロを捕球。ゲッツーを狙った彼は、二塁のベースカバーに入ったショートに送球。これにショートは足先でベースに触れるような動きをした直後、一塁へ送球した。
だが審判は、二塁ベースは踏んでいないとの判断を下す。一塁もランナーの方が速かったため、無死一、二塁とピンチは拡大。その後、慶応が3ランを放ち、逆転勝利を収めた。
SNSではベースを「踏んだ」「踏んでない」論争が勃発するなか、記録はショートのエラーとなった。同シーンを元日本プロ野球元審判員の坂井遼太郎氏は、「昨日の高校野球のプレーですが、複雑なルールの話ではなく、踏んだか踏んでいないかの話なので、私の経験をもとに書きます」とSNSに綴り出し、「まず、映像を何度も見ました。ただ確証ある映像はありませんでした。ですので仮に、プロ野球のような映像検証があったとしても判定が変更されることはないと思います」と断言。
そして「ここからは、私が判定に実際使っていた方法の話なのですが、審判員は目だけではなく、音や選手の反応、その他、土であっても、判定するにあたり武器になるものは全て使用します」と自身の経験談を踏まえ、こう記した。
「今回の映像を見たところベースの角に土がのっています。審判員はベースを綺麗にする人が大半ですが、僕はあえて土を残していました。理由は、今回のようなベースの角を蹴るようなプレーの時に、仮に足がベースに当たれば必ずその土が動いたり、ベースから落ちるのです」
坂井氏は審判の視点から「映像が不鮮明なので、はっきりはわかりませんが、ベースに元々のっている土の模様が変わっていないことから、足がベースに触れていないのでは?とも思います。ただこれも、この映像が不鮮明なため100%断言はできません」とコメント。そして「ただ一つ言えることは、この判定は試合の勝敗を左右する局面かつ、タイミング的には悠々アウトのプレーにも関わらず『セーフ』を出したということは、当該審判は確信を持って『セーフ』の判定していると思います」と論じた。
そんな元審判員は、この一連の判定を下した審判の心のケアを行なった。
「プロ野球の審判は職業審判なので、多少の批判は理解できるのですが、アマチュア野球の審判の方が必要以上に批判されている姿は、とても悲しい気持ちになります。ましてや今回の様などちらとも取れるプレーで。もちろん学生の将来に関わる可能性があるということもわかるのですが、審判の方も同じなのです」
「仮に数日経ってこの判定は正しかったとなっても、SNS等で受けたダメージは消えませんし、SNS等で批判されることは想像以上のダメージです。個人的にはこのプレーより、この後ホームランを打った慶應義塾の渡邉千之亮選手を称賛する方が、本来のスポーツのあるべき姿ではないのかと思っています」
全国大会の切符をかけた大事な局面で起きたまさかのプレー。坂井氏が伝えるように、実際に踏んだかどうかは映像からは判断しかねるが、まずは諦めずに試合を決めた渡邉選手を称えたいものだ。
構成●THE DIGEST編集部
【関連記事】佐々木麟太郎を擁する花巻東が夏の甲子園に出場する可能性を探る。 岩手県大会のライバル校はどこ?
【関連記事】東海大相模で一時代を築いたレジェンド指揮官が、新天地・創志学園で取り組む"心の体力"の育て方とは?「全力でやることが未来を創るんだよ」
【関連記事】平塚球場を整備する元高校野球監督の想い。定年後にグラウンドキーパーへ転身「暑さも忘れるくらい最高の仕事」
慶應が2点を追う9回無死一塁の場面だ。横浜のセカンドが正面のゴロを捕球。ゲッツーを狙った彼は、二塁のベースカバーに入ったショートに送球。これにショートは足先でベースに触れるような動きをした直後、一塁へ送球した。
だが審判は、二塁ベースは踏んでいないとの判断を下す。一塁もランナーの方が速かったため、無死一、二塁とピンチは拡大。その後、慶応が3ランを放ち、逆転勝利を収めた。
SNSではベースを「踏んだ」「踏んでない」論争が勃発するなか、記録はショートのエラーとなった。同シーンを元日本プロ野球元審判員の坂井遼太郎氏は、「昨日の高校野球のプレーですが、複雑なルールの話ではなく、踏んだか踏んでいないかの話なので、私の経験をもとに書きます」とSNSに綴り出し、「まず、映像を何度も見ました。ただ確証ある映像はありませんでした。ですので仮に、プロ野球のような映像検証があったとしても判定が変更されることはないと思います」と断言。
そして「ここからは、私が判定に実際使っていた方法の話なのですが、審判員は目だけではなく、音や選手の反応、その他、土であっても、判定するにあたり武器になるものは全て使用します」と自身の経験談を踏まえ、こう記した。
「今回の映像を見たところベースの角に土がのっています。審判員はベースを綺麗にする人が大半ですが、僕はあえて土を残していました。理由は、今回のようなベースの角を蹴るようなプレーの時に、仮に足がベースに当たれば必ずその土が動いたり、ベースから落ちるのです」
坂井氏は審判の視点から「映像が不鮮明なので、はっきりはわかりませんが、ベースに元々のっている土の模様が変わっていないことから、足がベースに触れていないのでは?とも思います。ただこれも、この映像が不鮮明なため100%断言はできません」とコメント。そして「ただ一つ言えることは、この判定は試合の勝敗を左右する局面かつ、タイミング的には悠々アウトのプレーにも関わらず『セーフ』を出したということは、当該審判は確信を持って『セーフ』の判定していると思います」と論じた。
そんな元審判員は、この一連の判定を下した審判の心のケアを行なった。
「プロ野球の審判は職業審判なので、多少の批判は理解できるのですが、アマチュア野球の審判の方が必要以上に批判されている姿は、とても悲しい気持ちになります。ましてや今回の様などちらとも取れるプレーで。もちろん学生の将来に関わる可能性があるということもわかるのですが、審判の方も同じなのです」
「仮に数日経ってこの判定は正しかったとなっても、SNS等で受けたダメージは消えませんし、SNS等で批判されることは想像以上のダメージです。個人的にはこのプレーより、この後ホームランを打った慶應義塾の渡邉千之亮選手を称賛する方が、本来のスポーツのあるべき姿ではないのかと思っています」
全国大会の切符をかけた大事な局面で起きたまさかのプレー。坂井氏が伝えるように、実際に踏んだかどうかは映像からは判断しかねるが、まずは諦めずに試合を決めた渡邉選手を称えたいものだ。
構成●THE DIGEST編集部
【関連記事】佐々木麟太郎を擁する花巻東が夏の甲子園に出場する可能性を探る。 岩手県大会のライバル校はどこ?
【関連記事】東海大相模で一時代を築いたレジェンド指揮官が、新天地・創志学園で取り組む"心の体力"の育て方とは?「全力でやることが未来を創るんだよ」
【関連記事】平塚球場を整備する元高校野球監督の想い。定年後にグラウンドキーパーへ転身「暑さも忘れるくらい最高の仕事」