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ぽっちゃり体型で50歳まで投げ続けた“ビッグ・セクシー”――バートロ・コローンがついに現役引退を表明<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.07.31

MLBラストイヤー(18年)のコローン。ぽっちゃり体型がよく分かる。(C)Getty Images

MLBラストイヤー(18年)のコローン。ぽっちゃり体型がよく分かる。(C)Getty Images

 MLBがトレード・デッドラインの話題でもちきりの現地7月29日、一人のベテランがひっそりと引退を表明した。かつてインディアンス(現ガーディアンズ)、エンジェルスなどで活躍したバートロ・コローンだ。1997年5月にデビューしてから、45歳だった2018年までメジャーで投げ続けた鉄人が、キャリアに終止符を打った。

 コローンと言えばまず、アスリートらしからぬぽっちゃり体型が代名詞。身長180cm、体重129kg。インディアンス時代には、シーズン中の軽量で225ポンド(約102kg)を下回るごとにインセンティブが設けられたことすらある。メッツ時代には突き出たお腹にライナーがぶち当たったが「デブだから大丈夫さ」と豪語した、という逸話も残っている。ほどで、ニックネームはそのおっさん体型を逆手にとった”ビッグ・セクシー”で、著書のタイトルにも使われている。

 そこまで太っていなかった若い頃は最速101マイルの剛速球が武器のパワーピッチャーとして君臨し、05年には21勝を挙げてサイ・ヤング賞を受賞した。年齢を重ねて球速が衰えてからは技巧派に転身。メジャー屈指の制球力を身につけ、12年には38連続ストライクのメジャー記録を樹立したこともある。40歳を超えてもイニングイーターでいられた息の長さの賜物は、その変幻自在のスタイルにある。
 
 通算247勝&2535奪三振と、極めて優れた投手であることは間違いない。だが、ある意味でキャリアの最大のハイライトはバッティングの方かもしれない。メッツに在籍していた2016年5月7日の敵地パドレス戦、2回の第1打席、ランナーを二塁に置いて、カウント1-1からの3球目。コローンは真ん中に投じられた90マイルの4シームを、いつも通り無造作にスウィングした。いつもと違ったのは、バットがボールに当たったこと。そして、打球が左翼席ポール際に跳ねたことだ。

 42歳にして飛び出した史上最年長のメジャー初本塁打。大きな身体を揺らしながらダイヤモンドをゆっくりと一周するコローンを”サイレント・トリートメント”で祝福すべく、メッツナインは全員ベンチ裏に引っ込んだ。あまりの衝撃に、TVカメラもしばらくベンチに戻ってきてチームメイトに手荒く祝福されるコローンを追い続け、次打者の打席を誰も見ていなかったほど。コローン本人は「サンディエゴはボールがよく飛ぶね」などと冗談を飛ばしながらも大喜びしていた。

 その後、ブレーブス、ツインズ、レンジャーズと渡り歩いて18年オフにFAとなってからメジャーの舞台からは遠ざかったが、21年にはメキシカン・リーグで登板し、48歳にして完投を記録。22年にはドミニカのウィンター・リーグで投げるなど元気な姿を見せていた。「記録にも記憶にも残る」名投手として、コローンの名は今後も語り継がれるだろう。

構成●SLUGGER編集部
 
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