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MLB

「世界的にはマイナースポーツ」「アメリカでの人気は低下」...某女性タレントの発言から考える野球の“真の世界的人気”<SLUGGER>

出野哲也

2023.09.08

大谷の影響力はあのメッシ以上とするメディアも存在する。(C)Getty Images

大谷の影響力はあのメッシ以上とするメディアも存在する。(C)Getty Images

「なんか若干炎上したら、イヤなんだけど……人気あるんだけど、なんかその野球自体が……。野球好きな人は野球見るんだけども、なんかやっぱりさ、アメリカってさ、バスケとアメフトなわけよ。だからそこら辺はキラキラしてるんだけど、野球ってそこに比べると、ちょっと地味なスポーツっていう印象があるから」

 8月16日にラジオ番組に出演した米国在住の女性タレントが発した、「大谷翔平のアメリカでの真の人気」に関するこの発言は、一部で大きな反響を呼んだ。大谷ファンの反感を買ったのではなく、日頃のフィーバーぶりを面白く思っていないアンチ大谷から大歓迎されたのだ。

 そうした人たちにとっては「世界的に見れば野球はマイナースポーツであり、アメリカでも人気は低下している」という持論を、現地に長年住んでいる人物が補強してくれたのも同然だったのだ。

 アメリカで最も人気があるスポーツは野球ではなく、アメリカン・フットボールであるのは間違いない。アメリカで最も信頼されている世論調査会社ギャラップのデータによれば「一番見るのが好きなスポーツ」は1960年代半ばにアメフトが野球に代わってトップに立った。以後その差は開くばかりで、2017年の調査ではアメフトが37%、野球は9%と4倍以上の差になっている。
 しかし、バスケットボールに関してはどうか? この調査でバスケットが一番好きと答えたのは11%で、野球と大差ない。実は、この傾向はここ30年ほどずっと同じ。90年代初めにバスケット人気は野球に肩を並べたのだが、その後は年によって順位が入れ替わり、どちらもフットボールの3分の1~4分の1程度の支持率が続いているのだ。

「一番好き」を選ぶのではなく、単に「好きか、そうでないか」と尋ねた場合は「野球が好き」との回答は47%に達し、バスケットボールの36%を引き離してフットボールの54%に迫る(同じく17年の調査)。つまりフットボールほど熱心ではないけれども、野球も見るという人たちは結構多いのだ。その割合も2000年以降ほとんど変化していない。この結果を見る限り、アメリカでの野球人気は低下しているわけでもなければ「キラキラしてる」バスケット以上に支持は強固ということになる。

 6年前の調査では古すぎるというなら、同じく市場調査会社であるハリス社の21年のデータを紹介しよう。好きなスポーツは、との設問(複数回答)に対しフットボールを挙げたのが62%、野球とバスケットボールは両方とも49%で、ギャラップ社と概ね同じような数字。フットボール>>野球=バスケット>>その他という図式が、アメリカ・スポーツ界の現状と受け止めていいだろう。

 さらに言うと、野球は世界的に見ればマイナースポーツ、という主張も正確ではない。厳密に言えば「地域によって人気の差が激しい」のだ。ヨーロッパでは間違いなくマイナーだし、アフリカ・中東や、極東を除くアジアでの存在感はないに等しい。オリンピックの正式競技から外れたのもそれが理由であり、「野球はマイナー」と決めつける連中の根拠にもなっている。

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