「その年に一番高く評価している選手を指名する」。それが日本ハムのドラフトの大原則だ。では、今年のドラフトで最も高く評価しているのは一体誰なのだろう。

【2023ドラフト候補ランキング最終版｜１～10位】東洋大・細野、青山学院大・常広、国学院大・武内...１位は果たして＜SLUGGER＞

　１年前の段階では「来季は佐々木麟太郎（花巻東高）」と考えていたかもしれない。しかし、その後はいまひとつ成長しきれなかった上に、アメリカの大学へ進む道を選んでしまった。この他には、ずば抜けて評価の高い選手というのは見当たらない。

　チームは２年連続で最下位に終わり、新庄剛志監督にとって、来季は必ず結果を出さなければいけない年。加藤貴之がＦＡ資格を得て、上沢直之もメジャー挑戦の意思を明らかにしている状況では、投手陣の強化は絶対に必要とあって、１位はやはり粒揃いと言われる大学生投手に入札するだろう。

　その大学生投手で入札指名が濃厚とみられているのは、細野晴希（東洋大）、常広羽也斗（青山学院大）、西舘勇陽（中央大）の３人だ。スケールの大きさなら細野、まとまりの良さは常広、その中間が西舘か。
  　しかしながら、日本ハムで過去に成功した左腕は加藤や河野竜生、ＯＢだと武田勝といった技巧派に属する系統が多い。細野のような“ワイルド系”の本格派サウスポーが育つイメージはどうも湧きにくい。新庄監督も、昨年ドラフト２位の金村尚真の名を挙げて「コントロールのいい、ゲームを作ってくれるような投手」の指名を望んでいると言われているので、常広の入札がまずは最善ではないだろうか。その上で、外れ１位や２位でも引き続き即戦力タイプの投手を狙っていけばいい。

　逆に３位以降では、将来的なチーム構成も考えていく必要がある。現在の戦力分布図で明らかに不足しているのは、高卒の捕手と遊撃手だ。捕手では、堀柊那（報徳学園高）は３位（全体の35番目）までに消えると思われるが、鈴木叶（常葉大菊川高）や寺地隆成（明徳義塾高）なら、まだ残っている可能性がありそうだ。

　不作と言われている高校生遊撃手は、百崎蒼生（東海大熊本星翔高）に対するスカウト陣の評価が高い。捕手の候補との兼ね合いになるが、３位か４位で残っていれば手に入れたいところ。すでに消えていた場合は、もう少し下位で中澤恒貴（八戸学院光星高）を確保したい。

【基本方針】
即戦力重視

【補強ポイント】
・コントロールのいい即戦力投手
・将来の正捕手候補
・走攻守に優れた高校生遊撃手

【理想の指名】
１位：常広羽也斗（青山学院大）
３位：百崎蒼生（東海大熊本星翔高）
４位：鈴木叶（常葉大菊川高）

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』（いずれも言視舎）。

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