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【ドラフトでオリックスが狙うべき選手】「即戦力投手が豊作」と言われる年だからこそ……あえて将来を見据えた指名で長期黄金時代の確立を!<SLUGGER>

シュバルベ

2023.10.25

甲子園通算打率は5割を超え、“広陵のボンズ”とも称される真鍋。将来の主砲としての期待値は高い。 写真:THE DIGEST写真部

 今世紀初のパ・リーグ3連覇を成し遂げたオリックスは今季、高卒3年目の山下舜平大や、育成上がりの東晃平ら若くて質の高い投手が台頭。吉田正尚(レッドソックス)のメジャー挑戦で危惧された打撃陣でも、頓宮裕真が首位打者を獲得するなど大ブレイク。勝利と育成を両立したチーム作りができていると言える。

 今オフには大エース・山本由伸のメジャー挑戦が確実視されているが、3年連続投手四冠という偉業を成し遂げた投手の穴埋めは、一度のドラフトでできるものではない。また、昨年指名した曽谷龍平や齋藤響介が二軍で好成績を収め、2021年ドラフト1位の椋木蓮が故障から戻ってくることを考えると、今年のドラフトでは目先の補強に囚われず、あくまで強みを活かすべく将来性を重視すべきだろう。

 まず、野手では現在不足している内野の強打者候補を獲得したい。昨年ドラフト2位の内藤鵬が左ヒザの怪我で長期離脱し、今季はほとんど実戦経験を積めなかった上に、過去5年で上位指名した元謙太(20年2位)や太田椋(18年1位)も期待値に達していないという現状がある。さらに宗佑磨の次の三塁手候補が手薄である点も加味すると、真鍋慧(広陵高)が筆頭候補に挙がるだろう。

 190cm近い体格に加え、逆方向にも長打を打てる真鍋は、現在チームにいるプロスペクトたちとも差別化できる。もし真鍋が獲得できなくても、強いスウィングとコンタクト率が両立している右の強打の内野手・明瀬諒介(鹿児島城西高)や、バファローズジュニア出身でU-18日本代表にも名を連ねた森田大翔(履正社高)ら他にも候補は多い。
 
 投手では、将来的に160キロを目指せる最大値の高い投手を狙いたい。190cm右腕の日當直喜(東海大菅生高)はベスト8入りを果たした春のセンバツで150キロを計測。身体操作性に優れたスムースな投球フォームで、縦割れの大きなカーブと、落差のあるフォークも大きな武器で、山下舜平大のように早期にローテーションの一角を伺えるだけのポテンシャルがある。

 U-18日本代表入りの木村優人(霞ヶ浦高)はまだ細身だが、バランスの良いフォームで上下のバラつきが少なく、変化球の制球に優れている。身体作り次第で150キロも安定して投げられる投手になれそうだ。来年以降も長身の高校生右腕はドラフト候補が多くいるため、木村で育成メソッドを確立できれば、非常に大きなアドバンテージになるだろう。

 森友哉や若月健矢の次の世代を担う捕手にも手を付けたい。25歳以下の支配下選手には福永奨と中川拓真がいるが、ともに二軍で打率1割台と苦戦している。候補の筆頭は堀柊那(報徳学園高)。春の選抜では打率4割、強肩も武器のキャッチャーで、気持ちを前面に出した立ち居振る舞いでチームを準優勝に導いたキャプテンシーもある。

 また、夏は故障の影響で万全なプレーを見せられなかったが、地肩の強さとフットワークは堀以上とも評される鈴木叶(常葉菊川高)や、U-18代表では打力を武器に一塁・三塁を守ってユーティリティ性を発揮した寺地隆成(明徳義塾高)も、十分候補に挙がるだろう。

 今年のドラフトは大卒投手に注目が集まっているが、だからこそ将来性ある選手に投資して、長期にわたる黄金時代を確立したい。

【基本方針】
将来性重視

【補強ポイント】
・三塁を守れる強打の高校生内野手
・将来的に160キロを目指せる最大値の高い高校生投手
・森や若月の次世代を担う打てる捕手

【理想の指名】
1位:真鍋慧(広陵高)
2位:日當直喜(東海大菅生高)
4位:寺地隆成(明徳義塾高)

文●シュバルベ

【著者プロフィール】
オリックス・バファローズと東京ヤクルトスワローズのファン。卒業してから足を運んだ東京六大学野球で東大の勝ちを見届け、アマチュア野球"沼"にも片足突っ込んでしまった野球好き。Twitter IDは「@love_uni31」。