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プロ野球

【氏原英明のドラフト採点:パ・リーグ編】育成自慢のオリックスの今ドラフトはA評価。抽選を3度外したロッテは……?<SLUGGER>

氏原英明

2023.10.28

ソフトバンクは前田(左)、西武は武内(右)をそれぞれ引き当てたが、果たしてドラフト戦略という観点で見てみると評価は……? 写真:THE DIGEST写真部

ソフトバンクは前田(左)、西武は武内(右)をそれぞれ引き当てたが、果たしてドラフト戦略という観点で見てみると評価は……? 写真:THE DIGEST写真部

 10月26日に行われた2023年ドラフトは、ここ数年では最も難しかっただろう。

 投手は1巡目まではそれなりの人材がいたが、野手は特に限られていた。チームの補強ポイントがくっきりと見えていても、そこを埋めるだけの人材は果たしているのか。果たしてどこを重視するのか、その難しさがあった。
 
 世間で騒がれるほどの「豊作」とは程遠いのが現状で、各球団のドラフト戦略が上手か下手かがはっきり分かれたように思う。今ドラフトの通信簿はその観点から評価していきたい。今回はパ・リーグを見ていこう。

【2023ドラフト候補ランキング最終版|1~10位】東洋大・細野、青山学院大・常広、国学院大・武内...1位は果たして<SLUGGER>

●オリックス:A

 これほどロマンに満ちた指名はなかなかない。

 リーグ3連覇を果たし、育成が順調にいっている印象のあるオリックスは、大学生の即戦力投手が多いと言われる中で、上位指名を高校生ばかりで占めるという策に出た。

 これは目先の「即戦力」に走らなくていいチーム事情があるからだ。組織とはこうして循環し始めると思い切ったことができる。

 ただ、思い切っただけではないところに良さがあるのが、今回のオリックスの指名だ。戦略的にも二重丸なのだ。

 まず1位指名では、高校生ナンバーワン遊撃手の横山聖哉(上田西高)の単独指名に成功した。横山は多くのチームが外れ1位か、2位での指名をイメージしたはずだ。

 しかし、ウェーバー順が最後のオリックスにとって、横山は2位での指名を目指しても残っているはずはない。さらに今年の「投手上位」の情勢を考えると、先に野手を指名するのがいいと考えるのは至極納得がいく。

 オリックスは大学生投手を上位で指名しなくてはならないほど、投手層に困ってはいない。その上、連続指名が可能だった2、3位で、高校生トップクラスの投手を2人指名しているのだから心にくい。4位は高校生捕手を指名し、下位で社会人の使い勝手のいい投手を指名する。課題はサウスポーが欲しかったことくらいで、それ以外にケチのつけようがない指名だった。
 
●西武:A

 大学生の中ではトップ左腕の評価を受ける武内夏暉(国学院大)の指名を事前に公表。3球団の競合を勝ち抜いて当たりクジを引き当てた。

 2位以降でも、セットアッパーやクローザー候補が少ないチーム事情に合致した投手を指名。特に2位の上田大河(大商大)は適任だろう。3位の杉山遥希(横浜)も高校1年夏から大舞台を知っており、角度のあるボールが持ち味の魅力あふれるサウスポーだ。菊池雄星のような投手を目指したい。

 7人中6人が投手という徹底ぶりだが、本来は外崎修汰、源田壮亮の後釜になる二遊間やスラッガーを狙っても良かった。しかし、今ドラフトの候補にはそれほどの選手がいないと判断したのだろう。徹底した投手重視は今年のドラフトをよく理解している。

 唯一の野手指名となった6位には、196cm/111kgの大砲・村田怜音(皇学館大)を指名。“おかわり⚪︎世”はもう聞き飽きたが、元祖の中村剛也のように意外に動けるとの情報もあり、西武らしい指名と言えるかもしれない。

 さらに育成ドラフトでは6人を指名。西武の二軍はデータを駆使した育成に着手しており、こちらも楽しみだ。
 
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